泊まれる水族館をご存じですか。閉館後の水族館でゆっくり生き物の観察をしながら、夜は大水槽の前で泊まることができる人気ツアーのことです。新江ノ島水族館が2004年から開催しているこのツアーの案内を見ながらふと思いました。
「泊まれる」という言葉がつくだけで「水族館」の魅力がさらに広がってないか? ひょっとすると「泊まれる」という言葉には何か特別な力があるのかもしれない。実際、「泊まれる本屋」「泊まれる道の駅」「泊まれる学校」などなど、普段は泊まることのできない場所に泊まれるようにすることで新しいサービスが生まれています。
これまで既成概念の枠にはまり、考えることができなくなっていたことが、ある言葉がつくだけでアイデアが広がる。そんな魔法のような言葉がほかにも存在するのではないか。
電通総研Bチームで日々収集している1,000の事例や、広告のキャッチコピーなどを見直してみたところ、およそ200のマジックワードを発見しました。その200語の中から、企画に使いやすそうな言葉だけを厳選し100ワードに絞り込んでつくったのが、「マジックワードカード」です。
「マジックワードカード」の使い方
1. テーマを決める。
2. マジックワードカードを10枚ずつ配り、面白くなりそうなマジックワードを手札の中から1枚選ぶ。
3. 「せーの」で一斉にカードを出す。
4. それぞれ出したカードについて説明。
5. 付箋紙を使って、みんなでアイデアを肉付け。
ここで、そのマジックワードの一部を紹介しましょう。人工知能に関する話題が絶えない昨今。人工知能が進化すれば感情を持ったロボットが普通になるだろう。そんな事例から「感情を持った____」というマジックワードを採集しました。
これを先ほどの水族館にくっつけると、「感情を持った水族館」となります。魚の状態や来場者の態度によって水族館の照明や音楽など雰囲気が変わる水族館? ユーモラスに話しかけてくる水槽を備えた水族館? などなど、この言葉からアイデアを広げていくことができます。
ほかにも、小商いやスモールスタートなど小さいことに価値を見出す風潮から見出した「スモール_____」というワードから、複業やパラレルキャリアという働きかたのトレンドからヒントを得た「趣味と実益を兼ねた______」といった言葉まで、幅広い言葉を取り揃えました。