ロシア人創業者でCEOのパーベル・ドゥロフは「今後はセキュリティの高さに加え、娯楽的な面でもユーザーにアピールしていく」と語った。
テレグラムは2013年の創業以来、赤字が続いている。ロシア最大のSNS企業Vkontakteの株式の売却金を元手に起業した31歳のドゥロフは、自己資金でテレグラムを運営している。月間アクティブユーザー数は約1億人で、3分の1はイラン人だ。ユーザーは写真や音楽、動画をやりとりするが、運営のコストは低くはない。
ドゥロフは今年初めから、決済システムの構築を言明している。テレグラムのゲームは今のところ無料で遊べるが、今後、テレグラムアプリやbotの開発者が課金システムを導入し、テレグラムがその一部を受け取ることも可能になるだろう。
チャットアプリにとって、ゲームの導入は生き残りのための不可欠な要素になるかもしれない。日本やアジアで人気のLINEは2012年7月にゲーム機能を追加し、3年も経たない2015年に売上高を10億ドル(約1,000億円)まで拡大した。売上の約4割はゲームや音楽、などのコンテンツから生み出されている。
テレグラムが決済システムを構築すれば、売上の増加が見込める。それに伴いゲームを増やせば、さらに新たなユーザーを呼び込む効果も期待できそうだ。
競合のLINEやWeChatは数億人規模のユーザーを抱え、WhatsAppとフェイスブックメッセンジャーに至ってはユーザー数が10億を超えている。テレグラムも実力のある挑戦者だが、アクティブユーザー数ではこれらの大手にはかなわない。エンタメ機能の強化が果たしてテレグラムに成長をもたらすか、今後の動きに注目したい。