浙江省杭州市に本社を構える吉利汽車は数週間以内に、国内市場に加えて欧米市場への進出も狙い、「手の届くプレミアム」ブランドを立ち上げる予定だ。同社幹部はこれについて、「わが社のグローバルブランドになる」と話している。
この幹部によれば、「プラグインハイブリッド車と、ハイブリッド車を各市場に投入する。浙江省台州市にある工場で生産し、テスラ方式で販売する」計画だ。
吉利汽車は2010年、スウェーデンのボルボを米フォードから買収。その後、110億ドル(約1兆1,320万円)を投資してボルボの立て直しに着手、新たなラインを導入してきた。エンジニアリングに関するボルボのノウハウと、意欲あるチームを手に入れた吉利が買収後に発表したモデルは、概して好評を博している。
新ブランドのモデルは、世界100か国におよそ2,300店舗あるボルボの販売ネットワークを活用し、販売を展開していく考えだ。
計画は難航?
だが、吉利汽車の計画はそれほど簡単には進まないとの指摘もある。
日本の自動車メーカー大手のある幹部は、「高評価を得るためには、価格に見合った価値を大幅に上回る価値を提供しなくてはならないだろう」と話す。低価格のプレミアムという考えが今でも関心を引く特徴なのか、疑問だという。
「欧州ではいまや、ほとんど誰でもBMWやメルセデス、アウディの車を買うことができる」
さらに、独自動車大手の幹部もまた、吉利にとっては苦難の連続になるとの見解を示している。
「欧州市場ではあまりハイブリッドが受け入れられていない。その状況と闘っていかなければならないだろう」
「独仏伊のいずれにおいても、EU市場への進出を目指す吉利をいら立たせるあらゆることが起きるだろう。各国は、国内のメーカーやサプライヤーを守ろうとする」