「Forbes JAPAN」は今年7月、医師専用会員制サイトを運営するメドピア(東京都)の協力を得て、全国の現役医師621人にアンケートを実施した。
日本人の3大死因であるがん(大腸がん・胃がん・肺がん・乳がん・子宮がん)、脳梗塞、心臓病について、それぞれ「本当に行きたい病院」と、病院を選ぶ際のポイントを尋ねた。
脳梗塞は知名度よりスピードが命
脳梗塞に罹って病院を選ぶ際、がんとは違った視点が顕著だ。重視されるのはスピード。脳梗塞は現在、発症から4〜5時間以内であれば、点滴による治療を行うことができる。一方で、病院到着までに時間がかかってしまうと、後遺症が残ってしまい、その後のリハビリが必要になる。
そのため有名病院に行くために5時間かけるなら、少しでも早く近場の病院に行き、1時間でも早く処置をしてほしいと考えるのが普通だろう。リハビリは医師ではなく作業療法士の職域で、“名医”が治せるものではなく、自身が頑張るしかない。自由回答では、障害の程度によって、病院を選ぶという回答が目立った。
1位 国立循環器病研究センター/大阪
2位 札幌医科大学付属病院/北海道
3位 北海道大学病院/北海道
4位 鹿児島大学病院/鹿児島
5位 日本大学医学部附属板橋病院/東京
6位 長崎大学病院/長崎
6位 鹿児島医療センター/鹿児島
6位 京都府立医科大学附属病院/京都
6位 香川県立中央病院/香川
6位 大西脳神経外科病院 ほか多数
医師個人の力量が問われる心臓病
心臓病は、“名医”の個人名が挙がる点が特徴的だ。心臓病の治療は、医師個人の力量が大きいだけに、カリスマ医師が存在する。天皇陛下の心臓冠動脈バイパス手術を執刀した順天堂大学医学部の天野篤教授などはご存じの方も多いだろう。
心臓病は、どの科に行くかによって対応が異なる。心臓外科に行けば手術になるし、循環器内科に行けばカテーテルとなる。現在は、どの症例を手術にし、またはカテーテルにするのかについての論争があり、例えば東京女子医大の循環器内科は、外科と内科でカンファレンスを持つなど、連携が進んでいる。
これに対してがんは、治療法のガイドラインが決まっており、ある程度マニュアル化されている。そのため全国で標準化された医療を受けることができる。心臓病に比べると医師個人の力量というよりも病院としての総合力が見られるのが特徴だ。
がんは、早期発見の場合と、進行してしまったがんの、どちらを想定するかで回答が変わる。また、死亡率が高い肺がんと、比較的治るケースの多い胃がん…というように、種類によっても視点は違う。
そうした中で、突出した支持を集めたのが、情報量が豊富な国立がん研究センター中央病院、がん研有明病院だ。ただ、全体としては各地の大学病院、総合病院ならガイドラインに沿った標準化された医療を受けられるため、回答者が居住する地域、地域の大学病院や、出身大学の病院を挙げるケースが多く、票が分かれた。(以上、メドピアの石見陽社長談)