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2016.10.07 08:30

生活習慣をアプリで「見える化」、病気の芽を教える先制医療

根来秀行 ハーバード大学医学部客員教授

あるバーベキューパーティーでのこと。「ちょっと指を貸してもらえます?」。ハーバード大学医学部客員教授の根来秀行は私(筆者)の人差し指をとると、指紋を採るように、スマートフォンのカメラ部分に当てた。フラッシュが指先を照らして約1分。スマホの画面に出てきたのは、自律神経の測定値だという。

「平均値の半分以下ですね」。根来が言うと、スマホを覗き込んでいた人々が「おおー」とどよめく。しかし、私が驚いたのは数値ではない。数日前、夜間の救急外来で医師から同じことを指摘されていたのだ。つまり、お手軽なアプリが医者と同じことをアドバイスしたのである。

根来秀行はハーバードの研究者として急性腎不全を引き起こすタンパク質を発見したことや、2012年に事業構想大学院大学を創立したことで知られる医師である。彼が開発したのは、世界初の自律神経計測アプリ。他にも、睡眠測定アプリなど、人間の生活習慣をアプリで「見える化」する。では、なぜアプリなのか。ここに深い意味がある。

「きっかけは、東大病院で長年外来と入院を担当したことでした」と、根来は言う。1990年代より彼は東大病院で、高血圧、腎臓病、糖尿病の合併症から末期がんまで、症状がひどい患者を多く診てきた。

「なんとか退院できるまで快復された方もいますが、力及ばず、亡くなられる方々もいらっしゃいました」と言う彼はある取り組みを思いつく。そもそも病気の原因は何か。患者の生活から見いだそうと、丁寧に話を聞くことにした。大学病院の「3分診療」ではじっくり聞けないので、カルテを書く時間を圧縮するなど工夫。すると、患者たちの話から共通項が浮上した。

「睡眠が悪い人が多いのです。退職した人たちは通勤という規則正しい生活がなくなったことで、遅くまで起きたり、だらだらと寝たり、睡眠時間が不規則になっています。睡眠の乱れにともない、食生活が乱れて、運動もしなくなります。血圧が上がり、血糖値が悪くなることもあり、病気が悪化していくのです」

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編集 = Forbes JAPAN 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.27 2016年10月号(2016/08/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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