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世界37カ国、700万人が愛読する経済誌の日本版

Creativa Images / shutterstock.com


ハーバードがビヘイビアヘルスを提唱するのは、社会の変化も大きい。一日中パソコンやスマホの画面を見ながら座り姿勢で生活をし、筋力を使わない人が急増している。運動不足と偏った食生活により肥満も増えた。

WHOは「2025年までに過体重ないし肥満は27億人に達する」と予測。肥満状態が長く続くとやがて糖尿病、高血圧、心筋梗塞、脳卒中、透析に至る。家族の介護を必要とし、早死にしてしまう。


現在の世界の過体重・肥満は2025年に27億人に急増する。肥満指数BMIが35以上は深刻な肥満の状態である。

特にアメリカでは小児肥満が増え、糖尿病が若年発症する傾向にある。これは、日本も例外ではない。近い将来、通常60代以降に多くなる心筋梗塞や脳卒中が、もっともっと若い世代にみられるようになるだろう。これは労働力を削ぎ、医療費のかかる世代の幅を拡大する。国としても憂慮すべき大問題だ。

ビヘイビアヘルスを推奨する科学的根拠もある。ほとんど運動しない人たちに対して、毎日40分激しい運動をすると50%近く、中等度の運動でも1時間で30%死亡率を減らすことができる。一方、世界では運動不足で死亡している人たちが10%(日本人は16%)いると推計されている。

運動には死亡だけでなく、糖尿病、うつ、大腸がんや乳がん、心筋梗塞や脳卒中、そして認知症の発症を大幅に予防する効果もある。さらに、握力が強めだと、弱めの人より死亡率が低いという研究結果もある。


1週間の運動時間が0で、1日11時間座って過ごす人の1,000人あたりの死亡者数が最も多い。22万2,500人のオーストラリアの成人を対象に調査された。

運動だけではなく、食生活も重要だ。通常の西洋料理に比べ地中海料理を食習慣にすると心筋梗塞や脳卒中のリスクが30%も下がることが大規模臨床試験で証明された。どうだろう? 薬に頼る対症療法よりも、運動、食生活、禁煙、趣味や家族、友人と過ごす時間を増やす、ボランティア活動で社会とのつながりをもつなどのビヘイビアヘルスの方がはるかに健康に対する効果が大きいのだ。

ところが人々は自分の行動パターンをなかなか変えようとはしない。これに対して、ハーバードのセミナーで紹介された次のケースは、ビヘイビアヘルスという新しい医療の可能性を示唆し、全米で注目された感動的な実話である。


イリノイ州ネパーヴィルの高校で授業前に楽しめるスポーツを導入したところ、停学や欠席者が減少。理科の世界テストでは1位に入賞した。

日本の2025年問題の解決策

アメリカで最も危険な都市。ニュージャージー州カムデンはそう呼ばれる。産業の衰退と人口の流出により、貧困率、教育レベルの低さ、FBIが報告する犯罪率など、最悪の数字が並ぶ。

医師ジェフリー・ブレナーはカムデンにある3つの市中病院の患者データを地図上に記入した。一見、単純な作業だが、これまで誰も気づかなかった面白い事実が浮かび上がってきた。

例えば、「あるマンションでは2年間に57人もの高齢者が転倒して救急車を呼んでいる。これにかかった医療費は3億円以上」という事実が判明。

または、「ある大きな老人ホームと低所得者が多いアパートの900人が、5年間で4,000回病院を救急受診し、200億円以上の医療費を使っている。その中の1人は5年間で324回も入院していたし、最も高額な医療を受けた患者は3億7,000万円だった」といった驚愕の真実である。

病院救急受診や入院が多いというのは、プライマリケアによる予防や慢性疾患管理の失敗とみなすべきである。彼はデータ分析により、こう結論づけた。「約10万人のカムデン市域の住人のうち、わずか1,000人が病院医療費の30%を消費している」

衝撃的な結論だが、この1,000人さえしっかり管理できれば、医療費を30%抑制できることになる。このような患者(スーパーユーテライザー)を同定することは簡単だった。医者仲間に「最も厄介な患者は誰?」と聞くだけでよいからだ。

文=浦島充佳

 

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