ビジネス

2016.10.05

暴言王トランプ、PTSDの帰還兵を「弱虫」呼ばわり 本当に弱いのは誰だ

photo by Christopher Furlong / gettyimages

米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプは、「強さ」に取り付かれている。しかも大半の場合において、相手が誰であれ自分の方が優位であることを前提として、強さについて考えている。そしてトランプは隅から隅まであちこちを見回して、自分がまだ侮辱していない相手を探し回っているようだ。

トランプはバージニア州で10月3日、退役軍人の会合に出席。心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した帰還兵たちについて、「戦場で見たことに対応できない人たちも大勢いる」と述べ、彼らを「弱い」と考えていることを暗に示した。強くない人たち、少なくともトランプの世界では弱い人たちが、対応できずにPTSDを発症しているというのだ。

トランプの侮辱は「3タイプ」

トランプの人に対する侮辱の仕方には、「嫌悪感に基づくもの」「1930年代に子どもたちが遊び場でぶつけ合っていたののしり」「弱さに対する非難」という3つのカテゴリーがある。

トランプがこの3種類の中のいずれかにあたる侮辱の言葉を持ち出し、相手を攻撃するのは、自分が不利だと感じたときのようにみえる。例えば、女性たちやオバマ大統領夫妻、民主党の大統領候補ヒラリー・クリントンと夫のビル・クリントン、ジョン・マケイン上院議員(共和党)などがそうした相手だ。マケインについては、ベトナム戦争中に戦争捕虜になったことで「負け犬」呼ばわりしていた。

そして、新たにそうした相手に挙げられたのが、退役軍人たちだ。彼らと比べられると、見くびられていると感じるのだろう。「弱さへの非難」を持ち出した。

PTSD発症者は増加の一途

米国では毎年、イラク・アフガニスタン戦争と湾岸戦争、ベトナム戦争の帰還兵らのうちそれぞれ11~20%、12%、15%にあたる人たちがPTSDを発症している。トランプはこの人たちを侮辱した。米国にはさらに、かつて第二次世界大戦と朝鮮戦争に従軍した後、「砲弾神経症(シェルショック)」と診断された人たちもいる。

次ページ > 従軍猶予に負い目?

編集 = 木内涼子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事