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歴史的建造物の維持には莫大な資金を要する。1989年のラッフルズを修復には1億1400万ドル(約117億円)、2001年のフラトンホテル(4つ星)の改修には2億8,700万ドル(約299億円)が使われた。

最近の例では、2015年末にナショナルギャラリー(旧最高裁判所ビル)の修復が完了するまでに3億8,500万ドル(約400億円)が費やされた。2017年1月からラッフルズは、一部改修工事に入る。

とはいえ、観光客の多いシンガポールにとってこれは意味のある支出と言える。観光業がこの都市国家にもたらす収益は年間170億ドル(約1兆7,700億円)にも上り、宿泊や観光による収入はその40%を占める。過去の遺産やノスタルジーが旅行者の興味を惹きつけるなら、ホテル業者がそれを利用しない手はない。

シンガポール風のひねりを加えて

リッツカールトン・ミレニア・シンガポール(4つ星)の支配人クリスチャン・ガートナーは「旅行客は常に、訪れる土地に根付いた伝統や文化に触れ、体験することを望んでいます」と語る。

またある作家は「ラッフルズの位置付けは、すでに一ホテルを超えている。私有のミュージアムや土産品、歴史や伝説を語り継ぐ書物なども備えて、シンガポールを訪れる者にとって必見のアトラクションとなっている。見事に国の象徴となり、シンガポールと世界をつなぐ接点としての役割を果たしている」と考えている。

同じく自らを“歴史を伝承する高級ホテル”と位置付けているホテル・フォートカニングでは、歴史ある公園・フォートカニングパークでのバギーツアーをセットにした宿泊プランを用意。「植民地時代の面影をたどるコース、香辛料の植物を見て回るコース、樹木鑑賞トレイルなどを展開している」と広報担当は語る。

シンガポールの歴史を伝承しているのはモニュメントだけではない。

リッツカールトンでは近頃、ロビーフロアのダイニングをコロニアル風のレストラン、Colonyに改装した。「植民地時代を彷彿とさせるインテリア、バトラー風のユニフォームを着た給仕、時代を感じさせる音楽の中で食事を楽しむことでシンガポールの歴史を体感できる」というレストランの評判は上々だという。

アフタヌーンティーも高級ホテルのサービスを象徴するものとなっている。今回紹介したホテルはどこも提供しており、中には英国式に“シンガポール風のひねり”を加えているところもある。

例えば、最初の移民が上陸した場所でもあるザ・ランディング・ポイントでは、東南アジアで主流のラピスケーキが一緒に提供される。英国風の3段トレーが優雅なリッツカールトンでは、パンダンリーフやパイナップルのティーシロップが一緒に。ラッフルズでも、アフタヌーンティーは定番だ。

モニュメントやインテリア、体験や食事など、このような歴史的遺産が惹きつける観光客の数、年間1,500万人。この数字を見れば、この国での経験が多くの人が“夢みるもの”であることがわかる。

■フォーブス トラベルガイドの記事はこちら



【Column/観光局スタッフがおすすめする逸品】

ラッフルズホテル内にある「ザ・カスタムショップ(CYC)」は、シンガポールの初代首相リー・クアンユーが指名したことでも知られる歴史あるテーラー。1935年にオーダーメイドのシャツブランドとしてスタート。そのクオリティー、着心地の良さは国内外のビジネスマン、政治家たちに高く評価されてきた。http://www.cyccustomshop.com

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編集=小川 由紀子

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