東南アジアの文化にルーツを持つこのコスモポリタン都市ともなると、ラグジュアリーな宿泊施設もバラエティに飛んでいる。コロニアル時代の面影を色濃く残すものから、モダンアートの域を極めたロックスター好みのものまで、魅力あふれるプレジデンシャル・スイートを紹介しよう。(星の数はフォーブス・トラベルガイドの格付けに基づく)
1. ザ・リッツカールトン ミレニア・シンガポール(4つ星)
ホテルの最上階(32階)に構えるのが、おなじみのベージュ&ブラウンを基調にしたザ・リッツ・スイート。ここ最大の売りは、遮るものなく見渡せるウォーターフロントの絶景だが、マリーナベイを真正面に臨むゆったりしたジャクジー、65インチのLCDテレビやSonosのサウンドシステムを備えて新設されたエンターテイメントルームもその魅力の一つ。
218平方メートルのこの部屋はこれまで、数々の国家元首や各国企業のCEO、世界的なスターや王族たちの“第二の家”となってきた。モダンクラシック調ではあるが、コンテンポラリー好きも、アンディ・ウォーホールやダミアン・ハーストの装飾品に満足することだろう。
2. マリーナ・ベイ・サンズ(4つ星)
建築家モシェ・サフディのデザインによるインフィニティプールで有名なこのホテルのチェアマン・スイートは、広さなんと630平方メートル。今回紹介する中でも最もインパクトがある。
54階に位置し、街や海を見渡す3つのバルコニーで囲まれた空間には、リビングルーム2部屋、バーが2つ、男女別のバスルームにエクササイズルーム、ゲームルーム、メディアルーム、ジャクジー付きのバスタブ、さらにはマッサージスペースも。エリアに応じて“ブラック&御影石”または“アースカラー&ゴールド”のテーマでゴージャスに装飾されている。
3. ラッフルズ・シンガポール(4つ星)
シンガポールの貴婦人と呼ばれるこのホテルには2つのオプションがある。サーキーズ・スイートとサー・スタンフォード・ラッフルズスイートだ。ともに植民地時代(1920年代)のバンガローにインスパイアされたもので、前者はホテルの創業者ファミリー、後者はシンガポールを英国の植民地とした人物にちなんで名付けられた。
サーキーズ・スイートは260平方メートル。その昔海辺のバンガローで使われていた伝統的なピントゥ・パガー(上下の開いた扉)を開ければ、そこは広々としたエレガントな空間。1930年代にイランで織られたカーペットの上に、真鍮があしらわれた大きなダイニングテーブル、そこにティファニーのシルバーウェアとそれにマッチする磁器類が備え付けられている。バルコニーから見えるのは、ヤシやプルメリアが茂る南国の楽園だ。
サー・スタンフォード・ラッフルズスイートは、コロニアル時代のバンガロー風建築をモチーフにした造りで、中国・安南地方由来の象眼細工を施したコーヒーテーブル、チーク材を用いた1910年代初頭のサイドボード、1870年にロンドンで出版されたラッフルズ卿の学術研究『ジャワ誌』から抜き出したプリントなどのアンティークが雰囲気を盛り上げる。
元米国大統領のビル・クリントン、ケンブリッジ公爵夫妻、マイケル・ジャクソン、カール・ラガーフィールド、ジョニー・デップら数々のセレブが、この部屋に滞在した。
4. グッドウッド・パークホテル
2016年の格付けには入っていないが、1900年開業のこのホテルにあるローズマリー・スイートも、フォーブス・トラベルガイドのお墨付きだ。260平方メートルを誇るその空間へは専用エレベーターでアクセスでき、扉が開くとそこにはネオ・クラシカルなアーチ状がそびえるラウンジが広がる。
その中央には、豪華絢爛なシャンデリアが輝き、壁にはモネのアクセント。さらには、壁にレザーを用いた書斎、広々としたダイニングルーム、活気にあふれたオーキッド通りを見下ろすバルコニー……。ショッピングに出かけるのにもうってつけのロケーションだ。