女性リーダーは性差別を助長? 同性たちはどう考えるのか

photo by Ethan Miller / gettyimages

女性初の米民主党大統領候補、ヒラリー・クリントンに関する話題はほぼ毎日、メディアに取り上げられている。だが、最近ではクリントンのおかげで女性嫌いに新たな時代が訪れたとの議論も増している。

女性がリーダーであることは、他の女性たちのためになるのだろうか?それとも、害になるのだろうか。女性リーダーにスポットライトを当てることは、広がりつつある性差別的な風潮に拍車をかけているのだろうか?それとも、女性にとってのロールモデルが示されることで、他の女性たちの機会を拡大しているのだろうか。

女性が最高経営責任者(CEO)を務める企業の女性従業員たちの声が、この疑問に対する答えを示してくれるかもしれない。男女平等について、こうした女性たちはどのように感じているのだろうか。

女性トップは「ガラスの崖」に置かれる

代表的な米株価指数であるS&P500種指数の構成企業のうち、CEOが女性の企業は現在、22社にとどまっている。これら各社の女性従業員のうち、女性の労働環境の改善を目指すフェアリーゴッドボス(Fairygodboss)の調査に対し、「社内の男女平等は実現されていると思う」と答えた人は、41%だった(過去1年以内に10人以上の女性従業員がアンケートに答えた企業8社の平均)。これに対し、公平な職場として女性から最も高い評価を受けている企業10社の平均は、67%に上っている。

女性リーダーが率いる企業がこの点で最高の評価を得られない理由については当然ながら、さまざまな説明が可能だろう。

まず、性別に関する多様性と男女平等に関する企業文化や慣行、方針について決めるのは、CEOだけではないことが挙げられる。従業員たちにより直接的な影響を及ぼすのは、上級幹部、部門責任者、さらには中間管理職であり、特に大企業では、企業文化が必ずしも社内全体で同一ではない場合が多いことから、こうした傾向が顕著だといえる。

第二に、女性CEOの多くが深刻な経営課題に直面した企業に登用されていることは、すでに多くの文書によって示されている。女性CEOたちの多くは「ガラスの断崖」と呼ばれるストレスの多い、業績の急激な改善が急務の企業で、その任に就いている。より大きな問題、存続の危機にかかわる問題に直面している企業にとって、性別に関する多様性にも重点的に取り組むことは困難だろう。

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編集 = 木内涼子

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