マッケルによれば、「現在の米ドル中心のシステムが直面する課題と問題点はすでによく知られている」「リスクのない資産、短期国債の発行数が構造的に不足している」ということだ。
ユーロ圏では債券の利回りがゼロを下回っており、円は下落傾向にある。そのためアジア各国の中央銀行は、これら以外の通貨の保有したがっている。準備通貨としての人民元によって中国が目指すのは、こうした各国の中央銀行に多様性を提供することだ。
貿易決済でも増す存在感
国際銀行間金融通信協会(SWIFT)によれば、貿易決済通貨としての人民元は向こう数年内に、英ポンドや円に代わる存在になると見込まれている。ドルを上回る存在になることはないだろうが、中国と貿易取引があるアジア各国は今後ますます、人民元建てでの取引を増やしていくだろう。
ドルが事実上の基軸通貨としての役割を果たす現在のシステムに課題がないわけではない。ユーロの誕生により、国際貿易の一部はユーロ決済が取って代わったものの、全体としては今も、取引の大半がドル決済となっている。
中国がブラジルから大豆を輸入する際、中国はその代金をドルで支払っている。サウジアラビアが輸出する石油の代金も、全ての国がドルで支払っている。だが、中国はこうした現状について、人民元が市場に新たな選択肢を提供すべきだと考えている。
そして、新興市場の一部は、今回のIMFの決定を歓迎している。中国には今後一層、一定の市場のルールに従って行動することが求められるためだ。