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日本のスタートアップの課題のひとつに「起業家を増やす」という側面がある。それを解決に導くかもしれない「シードアクセラレーター」とは。

(中略)2011年、文原は、これまでにない音楽サービスをつくりたいと一念発起。上京し、起業を試みた彼は、「MOVIDA JAPAN」の門を叩いた。
 シードアクセラレーターは、たとえるなら「起業家の登竜門」。起業経験がない、起業経験の浅い経営者や経営チームに対し、専門家や先輩起業家によるメンタリング、スペース提供を行いながら、短期間で起業家の成長をうながす。数百万円規模の投資も行う。DropboxやAirbnbを生んだ「Yコンビネータ―」など、シリコンバレーではよく知られた存在だ。

 文原は、プログラムに応募し、書類選考と代表・孫泰蔵と面接を経て、選考通過通知を受けた。文原は12年1月から3月までの3カ月間毎週、VASILY社長の金山裕樹、nanapi社長の古川健介など先輩起業家たちから、「事業計画はどうすればいいか」「サービスを成長させるためにはどうしたらいいか」など経営に必要な知識からサービス運営、チームマネジメントまで学んだ。プログラムを運営する投資家に連絡すると、事業についてディスカッションする時間を設けてくれ、ファイナンスに関することなどを相談した。
 プログラムの最後には卒業式とでもいうべき「デモデイ」が開かれ、投資家やメディアの前で自らの事業についてプレゼンテーションをする機会が与えられる。こうした一連のプロセスは、起業家としての“経験値”をあげる
 こうした一連のプロセスを経た文原は、「MOVIDA JAPAN」卒業後、すでに数回の資金調達を行い、いまでは十数人のメンバーまで組織を大きくしている。
 日本にも「MOVIDA JAPAN」をはじめ、「オープンネットワークラボ」などシードアクセラレーターは増えている。さらに、起業家育成のプログラムも「インキュベイトファンド」「イーストベンチャーズ」「サムライインキュベート」から、次々と誕生している。

「同期の起業家は仲間でありライバル」—
 (中略)彼らはソーシャルメディアを通じて頻繁に情報交換を行い、事業の相談や人の紹介などを行い、起業家にとって重要な資源となる“人脈”を広げている。

 日本政府はいま、日本再興戦略として「新陳代謝とベンチャーの加速」を掲げ、「アメリカ・イギリスレベルの開廃業率10%台」を成果目標に上げる。現在、日本の開廃業率がどちらも5%をきり、起業に必要な知識・能力・経験についても先進国平均38.3%に対し、日本は9.0%と離されている。

 しかし、こうしたシードアクセラレーターをはじめとした起業家育成の動きは、いま、確実に成果に結びつき始めようとしている。
 現在は、スマートフォンやソーシャルメディア、クラウドといったテクノロジーが普及し、インターネット系企業の起業にかかるコストは1990年代と比較し、100分の1になったともいわれている。そこに、「シードアクセラレーター」「インキュベーションプログラム」が充実し、さらにはクラウドファンディングといった新たな資金獲得方法が利用できるようになり、新時代の起業家の芽が出始めた。
 いま、日本には、かつてないほど起業しやすい環境は整っている。スタートアップの“裾野”はますます広がりそうである。

モリ・ジュンヤ(ザ・ブリッジ)

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