マンハッタンから車で1時間半。会場となったホフストラ大学には、国内外の報道陣や両陣営の関係者、共和、民主両党の政治家などが集まった。討論会の前後には囲み取材も行われるが、予備選の討論会より大物の政治家にインタビューできるのが魅力だ。
2012年に同大学で行われた第2回テレビ討論会に比べ、両党とも有力政治家が少なかった印象はあるものの、トランプの外交ブレーンであるジェフ・セッションズ上院議員(共和党、アラバマ州)や安全保障アドバイザーのマイケル・フリン前国防情報局長、トランプを全面的に援護射撃するルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長なども駆けつけた。
日本経済新聞(9月1日付)によると、トランプが日本たたきをやめたのは、日本の外交当局がセッションズ上院議員らに接触し、同盟国である日本を標的にするのはおかしいと訴えたためだという(日本の外交当局は接触について「ノーコメント」を貫いていると、同記事は報じている)。
真相はどうなのか、トランプは日米関係に何を求めているのか。討論会後、プレスセンターに現れたセッションズ上院議員を直撃した。
―トランプが大統領になったら、日米関係はどうなるのか。トランプは遊説などで日本に言及するが、たいていポジティブな意味ではない。日本の人たちは心配している。
セッションズ上院議員:トランプは、はっきりものを言うタイプであり、交渉上手でもある。欧州の同盟国について話すことが多いが、日本に言及することもある。同盟国は相互防衛にもっとお金を出す必要があるという意味で、だ。
米国は長年の間、韓国や日本、フィリピンに安全保障の傘を提供してきたため、借金が膨らみ、巨額債務を抱えることになった。トランプは、同盟国がもっと貢献してくれれば、相互防衛も強まると考えている。日本は日米防衛によく貢献してくれているが、もっと貢献すべきだと言えるだろう。私も、そう考えている。
たとえば、北大西洋条約機構(NATO)には欧州28カ国が加盟しており、各国が国内総生産(GDP)の2%を軍事費に使うことが目標値として設定されているが、その割合を満たしているのは4カ国だけだ。そのため、米国がNATOの軍事コストの約70%を負担している。大平洋地域でのプレゼンスを高めたいからだ。
日本などの同盟国も、米国に太平洋地域の海軍力を増強してほしいと考えていると思うが、お金がかかる。米国だけが負担するのではなく、日米間のさらなるパートナーシップが必要だ。