放映権といえば、スポーツをビジネス化する上で大きな役割を担い、いまや、スポーツビジネスのキーになっているといってもいい。そんな世界にアジア人としてはじめて飛び込んだTEAMのHead of Asia Sales、岡部恭英氏に個人がグローバルで活躍できる秘訣、さらには日本のサッカーが勝つための条件を聞いた。
谷本有香(以下、谷本):岡部さんはUEFAチャンピオンズリーグに関わっている初めてのアジア人だと伺いました。改めて、どんなお仕事をされているんですか?
岡部恭英(以下、岡部):私が働いているのは、ヨーロッパサッカー協会のマーケティング代理店です。そこで、私はUEFAチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの放映権とスポンサーシップのセールスをしています。そのアジア・パシフィックと、中東・北アフリカ地域の責任者をしています。
谷本:岡部さんが今のキャリアを目指したきっかけは?
岡部:僕の将来を変えるきっかけになったのは、2002年、日本で行われたサッカーワールドカップです。当時、シリコンバレーで働いていた僕は、そのサッカーワールドカップが持つ、経済的側面や国際交流を含めた威力に圧倒されました。
バブルが弾けてからずっと元気がなかった日本が、あのイベントですごい元気になった。しかも、国際交流に消極的な日本人があの期間は積極的に海外のサポーターたちとの交流を持っていた。
この様子を目の当たりにして、こんな素晴らしいイベントはない、もう一度日本にワールドカップを持ってきたい、そして、ずっとサッカーをやってきた人間として、生きている間に日本がワールドカップで優勝するのを見たい、と心から思ったんです。だから、サッカーに関わる仕事がしたいと思いました。
谷本:しかし、そんな簡単に手に入る職ではありません。
岡部:英ケンブリッジのビジネススクールに通っているとき、勉強そっちのけで、欧州5大リーグのサッカークラブやサッカー協会などを全部回り、売り込みをかけたんです。仕事をください、と。でも、現地の人にも大人気なサッカーの仕事に、日本人がありつけるわけはなく・・・。
そこで、MBAの修士論文でインタビューさせて欲しいと連絡をしてみると、意外に話が通ったんです。実はインタビューは重要ではなく、肝心なのはアポが取れたということ。その機会を利用して、自分がビジネスリサーチした結果、相手の組織のビジネスイシューやチャレンジ、オポチュニティを指摘し、レコメンデーションという形での提案もする。
そして、その実現のために必要な人材まで提案するんです。そう、それが自分なんですが(笑)。
そういうピッチをしていくうちに、3つのクラブからインターンをしないかという提案を頂きました。