今回アップルが取得した特許(特許番号9,453,976)は、端末に開けられた目に見えないほど小さな複数の穴をインターフェースとして、他の端末と光無線通信を行う「オプティカルコネクタ」に関するものだ。特許書類には次のように記されている。
「オプティカルコネクタを通じて光信号を受発信する電子端末。端末の表面に開けられた穴を通じて、オプティカルコネクタを搭載した他の電子端末と相互に通信を行う。穴のサイズは目視で確認できないほど小さい」
ワイヤレス充電が実現する
オプティカルコネクタ同士の位置がずれないよう、端末内部にはマグネット式コネクタが搭載されるものと思われる。また、オプティカルコネクタによって、ワイヤレス充電がついに実現することになる。アップルがワイヤレス給電の国際標準規格である「Qi」に対応するのか、独自規格を作ってMFi(Made for iPhone)認証プログラムに追加するのかは不明だが、筆者はティム・クックが後者を選択すると予想する。
ライトニングポートの廃止に関しては、それほど大きな騒ぎにはならないだろう。イヤホンジャックの廃止に関しては、一部ユーザーらが猛反対をしたが、アップルの考えが覆ることはなかった。アップルはワイヤレスな世界を目指しており、ケーブル付きデバイスは過去の遺物になりつつある。もはやどのメディアもティム・クックが消費者の感情を読み違えたと批判することはないだろう。
アップルは、これまでもMacシリーズからFDドライブやDVDドライブを取り除き、ハードウェアに不要だと思う機能を廃止してきた。同社は壊れやすくてかさばるコネクタを全てなくしたいと考えており、可能な限り実行に移してくるだろう。
来年のiPhone 8で廃止か
iPhone 8のリリースに合わせてライトニングポートを廃止するのは、アップルにとって絶好のタイミングだと言える。iPhone 7は、実質的にはiPhone 6Sに続く「6シリーズ」の第3世代であり、iPhone誕生から10周年を迎える来年にリリースされる予定の「8」は、端末の大幅刷新が期待される。現段階では、フレキシブルな有機ELディスプレイの搭載やホームボタンの廃止が噂されているが、テック業界はさらに野心的な変化を待ち望んでいる。
オプティカルコネクタが実現すれば、これまでアップルが目指してきたケーブルを使わずにデータ通信、充電、周辺機器との接続などを行なうデバイスが実現する。
アップルのような企業は数多くの特許を申請しており、取得した特許をすぐに製品に活用するとは限らない。また、特許の多くは他社が取得するのを防ぐ目的で申請される場合もある。しかし、今回のオプティカルコネクタに関する特許はアップルが目指す方向性と合致しており、iPhoneに残された最後のケーブルが廃止される日は近いだろう。iPhoneユーザーには、今のうちにライトニングケーブルを存分に堪能しておくことをお勧めする。