ビジネス

2014.12.26 14:50

数字で読む「スタートアップが日本経済の主役となる日」





アメリカでは年間GDPの0.2%のベンチャー投資が21%の価値を生んでいる̶。
グーグル、アップル、フェイスブックに代表されるように、アメリカ経済はベンチャー企業が牽引してきた。いま、日本のスタートアップシーンでも、日本経済に地殻変動を起こす大きな変化がはじまった。


「ボーン・グローバル・ファーム」の登場

ボーン・グローバル・ファーム—。創業間もない段階から急速に国際展開を行う企業が、いま日本で増えている。

 これまでは「IPOしてから世界へ」というのが主流だったが、現在はgumi、メルカリ、スマートニュースといったスタートアップが未上場の段階で海外進出を始めている。
gumiは現在、世界8カ国に拠点を持ち、売り上げも海外言語版が半分にせまる。メルカリも本格的に北米市場に参入し、シリコンバレー支社を設立、山田進太郎社長も月の半分はアメリカに滞在している。スマートニュースも、元ウォール・ストリート・ジャーナルのオンライン版を立ち上げた、リッチ・ジェロスロフスキーを招き、アメリカ進出。リリース1週間で米App storeニュース部門でダウンロード数1 位を獲得するなど、滑り出しは好調だ。

「世界的な傾向がいま、日本でも起きている。gumiなどのグローバル展開の成功例も出てきており、これからは新しいトレンドになっていくだろう」(早稲田大学ビジネススクールの入山章栄准教授)

 こうした動きは「PCからスマートフォンシフトへ」—というビジネストレンドが加速させる。日本に優位性があるといわれる、スマートフォン関連の市場は世界で急成長を続け、とくにモバイルアプリ市場は13年、前年比2.3倍の160億ドルにまで成長した(AppAnnie、HIS調べ)。
そうしたなか、日本のスタートアップのアプリが世界でヒットする事例も出てきた。例えば、トランスリミットが運営する脳トレアプリ「Brain Wars」。リリースから半年で700万ダウンロードを突破し、そのうち95%が海外ユーザーである。Moiが運営する「ツイキャス」も、スマホで動画のライブ配信ができるというシンプルさが受け、ブラジルなどポルトガル語圏でユーザー数が伸びているという。

 Skyland Venturesの木下慶彦代表パートナーは「この分野では、日本で成功してから世界へでは遅い。Brain Warsのような成功事例もある。最初からグローバル市場を意識することが重要になってきている」と指摘する。

 本場・シリコンバレーで起業した、AnyPerkやシリコンバレーが本社のWHILLのように海外に本拠地を置くスタートアップも増えてきている。ジャパンベンチャーリサーチによると、本店登記が海外のスタートアップの資金調達規模の割合がここ数年で急増。10年には全体のほぼ0%だったのに対し、現在は10%程度(14年)まで増えている。
日本のスタートアップへ国境をまたぐ投資も出始めた。Skype共同創業者ニクラス・ゼンストロームが代表を務める英Atomicoがスマートニュースへ投資。中国のテンセントも、オンラインゲーム会社のエイミングに出資を決めた。

 スタートアップの「ボーン・グローバル化」は今後、新たな常識となるだろう。(以下略、)

山本智之、土橋克寿

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