ここで、Tidalが「絶好の買収ターゲット」である4つの理由を紹介しよう。
1. 「独占コンテンツ」の優位性
ほとんどの音楽ストリーミングサービスが差別化に苦しむ中、Tidalは特に独占コンテンツに力を入れている。約1年半前の立ち上げ以来、カニエ・ウェストやリアーナ、ビヨンセなどの新譜を期間限定で独占配信し、独占コンテンツにおいて業界のリーダー的存在になっている。Tidalが期間限定あるいは無期限で独占的に配信している楽曲やミュージックビデオは数多く、常に新しいアーティストがコンテンツを提供している。
独占コンテンツの価値は極めて高く、他社がTidalの買収を検討する大きな理由だ。独占コンテンツは長期的にユーザーを引き止める手段として証明された訳ではないが、今のところ多くのサービスが競って導入している特典だ。
アップルも独占コンテンツに力を入れており、2016年にはドレイクやチャンス・ザ・ラッパーなどの新譜を他社に先立って配信した。しかし、独占コンテンツにおいてはTidalが依然としてリーダーであり、自身がラッパーでビジネスマンでもあるJay Zが所有する同社は買収対象として非常に魅力的だ。
2. 今なら「お買い得」かもしれない
最近発表されたTidalの業績を見る限り、同社の経営はあまりうまくいっていないことが分かる。ウォールストリートジャーナルによると、Tidalの親会社Aspiroは莫大な損失を出している。2015年の損失額は2,800万ドル(約28億円)で、前年の1,000万ドル(約10億円)から大幅に増加した。しかもこの損失額を打ち消すほどの新規ユーザーを獲得できているわけではない。
そのためTidalは破格の安値で身売りに応じる可能性もある。追加出資を受けてしばらくは独自経営を貫くかもしれないが、今のペースで損失を出し続ければ身売りする以外にないだろう。