アップル製スマートスピーカーの最大の特徴は、「内蔵カメラにより部屋にいるユーザーが誰かを認識する」ことだ。関係筋によるとアップルは自社の厳格なプライバシー基準に準拠するため、ユーザーがアクティベートさせないとカメラを利用することはできないように設定しているという。
アップルによるスマートスピーカーの開発に関しては、9月23日にブルームバーグが最新情報を報じている。アップルはこれまでに複数のプロトタイプを開発しており、中にはカメラを搭載していないモデルも含まれるという。アップルは、カメラを搭載したハイエンドモデルと、非搭載の安価モデルの2種類をリリースするつもりなのかもしれない。
カメラを搭載したモデルは部屋にいるユーザーを特定し、そのユーザーの好みに合わせてBGMや照明の明るさ、室温などを変更することができるが、その一方でユーザーのプライバシー保護が大きな課題となる。
MSは同機能のKinect搭載を見送り
リサーチ会社IHS Markitのシニア・アナリストであるポール・エリクソンによると、かつてマイクロソフトの家庭用ゲーム機「Xbox」に同梱されていたKinectカメラでも同様の問題が発生したという。マイクロソフトはユーザーの体形、身長、性別などを判別する機能を開発したが、ユーザーに不快感を与えかねないとして、最終的にはkinectへの搭載を見送ったという。
アップルはユーザーのプライバシー保護を重視しているが、スマートスピーカーはアマゾン・エコーと同様、ユーザーの声を常にマイクで拾っており、「Hey Siri」と話しかけると起動する。(iPadにはこの機能が既に搭載されており、ユーザーはSiriに話しかけることで家中のスマートホーム機器をコントロールできる)
アップルは、スマートスピーカーをHomeKitのハブとして機能させたい考えだ。HomeKitとは、サードパーティ製のスマートホーム機器をiOS 端末で管理したり、Siri による音声操作を可能にするアップルのスマートホーム規格だ。HomeKitは2014年のリリース以降、徐々に普及が進んでいる。今年のiPhone 7の発表イベントでは、ティム・クックが年内にスマートロックやサーモスタット、電球、セキュリティカメラなど、100種類ものHomeKit対応デバイスがリリースされることを明らかにした。また、iOS10では、HomeKit対応デバイスを一元管理できる「Home」アプリが用意されている。
アマゾンは、独自の音声アシスタント「Alexa」を搭載した円筒上のスマートスピーカー「エコー」を2014年にリリースした。発売当初、人々はエコーをどう評価すべきか決めかねていたが、すぐに空前のヒットとなった。サードパーティ企業はこぞってエコーとの連携を行い、ウーバーの配車やドミノピザの注文、スマートホーム機器の制御などが次々と実現した。グーグルも、新たなAIアシスタントを搭載したスマートスピーカー、「グーグル・ホーム」を早ければ来月にもリリースする予定だ。
スマートスピーカーの開発に関してアップルにコメントを求めたが、回答は得られていない。