招かれたのは汚職と将来への不安?
インドの半ソ連、半ラテン型経済モデルは1960年代末から1970年代初頭、インディラ・ガンディー元首相が市場経済と政府主導の最大の特長といえる側面を組み合わせた体制の確立を目指して導入したものだ。
この組み合わせは市民の日常生活と財政の将来見通しに広範な影響をもたらした。中でも特に問題となったのは、企業の信頼感を損なう汚職を助長したことだった。米ロングアイランド大学ポスト校のウダヤン・ロイ教授はこの経済モデルの影響から、インドの高い経済成長率は持続しないと考えている。
「インドはこのところ、年率7%という急成長を遂げてきた。だが、懸念すべき兆候が見え始めている。民間部門への投資の伸び率が大きく鈍化していることがその一つだ。つまり、インド企業は新規プロジェクトや既存のプロジェクトの拡充に投資を行っていないということだ。これは、彼らが将来に不安を持っているということだろう」
汚職のまん延、公平性や透明性の欠如が、インドが大幅にイノベーションと起業家精神を損ねてきたことを示されている。インドはこれらの分野において、中国に大きく後れを取っているのだ。
急速な経済成長を遂げたにもかかわらず、インドが生み出した世界レベルの製品はごく少数にとどまっている。ロイ教授は、「インド製と表示された製品はどこにも見当たらない。インドにとって唯一の成功は、欧米企業にIT関連のサービスを輸出したことだ」と指摘する。そしてこれは、インドの成長を維持するのに十分ではない。