「企業として」と「起業家として」 楽天・三木谷浩史のイノベーションの秘訣

楽天、三木谷浩史 代表取締役会長兼社長(Photo by Jan Buus)


「官僚的な組織をつくりたい経営者はいない。だけど組織の歴史を紐解くと、そうなっていく。ではどうするか─。各ビジネスを『ストロング』『スマート』『スピード』の3つに分けポートフォリオマネジメントをしていこう、と」

ストロング領域は、マーケットシェア・ナンバーワンを狙い、10〜30%の成長率を目指す。スマート領域は、ニッチでユニークなサービスで一定のマーケットシェアを狙い、成長率25〜70%のビジネス展開を見据える。スピード領域では、破壊的なビジネスモデルにより成長率70%以上の超高成長を狙う。

大きな枠組みを策定する一方、新規事業の企画、立案を6人1組で行う取り組み「プロジェクト6」も推進させている。楽天市場の立ち上げと同じ人数の「6人」という小さなユニットで新規サービスの開発を目論む。代表的な成功例のひとつは、スマホ決済サービス「楽天スマートペイ」。業界2位以下を10倍引き離す、圧倒的トップという成果を出している。

「イノベーションの起こりやすい定型フォーマットを作ろうと。そして、どんどんやれ、と。これはガバナンスのノベーションだ」

現在、三木谷は毎月シリコンバレーに足を運び、イーロン・マスクやシェリル・サンドバーグら多くの起業家と交流を深めている。その中でも、三木谷はテスラモーターズの技術力に注目する。

「なぜ、彼らが世界最高水準を実現できているのか。それはグローバルタレントが集まっているから。我々がグローバルを重視する理由はそこだ。日本人だけでは難しい。現在、楽天は世界中から人材確保ができ、企業の買収もできている。シンプルだが、社内公用語英語化の効果は大きい」

東京をアジアのインテリジェント・ハブにしたいと考え、本社移転した二子玉川をチャレンジ精神あふれる”シリコンリバー”にしたいと壮大な目標を掲げる三木谷に、最後、改めてイノベーションに大切なことを聞いた。彼の答えはシンプルだった。

「それは、日和らない”根性”ですね」

三木谷浩史◎1965年神戸市生まれ。88年一橋大学卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。93年ハーバード大学にてMBA取得。97年楽天を設立、代表取締役社長就任。新経済連盟の代表理事を務める。

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編集 = Forbes JAPAN 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.28 2016年11月号(2016/09/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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