台湾にもiPhoneファンはたくさんいるが、消費者のロイヤリティを固める究極のマーケティングツールであるアップルストアを開設するに値する市場なのか否か、アップルはずいぶん長く迷っていたようだ。
調査会社IDCアジア太平洋部門のクライアントデバイス副社長、ブライアン・マーは「アップルストアは、アップル製品の生きた広告とも言える。人通りの多い場所にアップルの“聖地”を開設することで、どの程度のマーケティング効果があるのか、ユーザーをつなぎとめられるのかをアップルは観察していた」と述べた。
人口2,300万人の台湾がアップルにとって重要なマーケットになったのは、iPhone6発売後の昨年だという。市場調査会社IHSモバイル通信部門トップのイアン・フォッグは、「iPhone6は大きなディスプレイを好む台湾人の心をつかんだ」と述べた。
iPhoneは台湾でシェア1位
台北の調査会社Market Intelligence & Consulting Institute(MIC)によると、2015年に台湾で販売されたスマホのうちアップル製品は20.3%を占め、現地ブランドのHTCの18.3%、サムスンの17.8%をしのいで首位に立った。Gartnerによると2016年第2四半期の世界のスマホ市場のシェアは、アップルが14.6%だったのに対し、サムスンは21.8%だった。
MICのアナリスト、エディー・ハンは、「スマホマーケットの成長が鈍化する中で、アフターサービスやユーザーエクスペリエンスを向上させるGenius Groveのような独自サービスを提供するアップルストアは、アップルが台湾で優勢を保つ助けになるだろう」と述べた。
アップル広報は台湾のアップルストアについてコメントしていない。カスタマーサービスのエージェントは電話取材で、「開店日はまだ決まっていない」と答えた。しかしアップルは既にオープニングスタッフを募集しており、アップルストアの開店が近づいているのは確かだ。
アップルストアは来年までに開店するとの情報もある。また、Studio AやiStoreといった台湾に数多くあるアップル公認のショップは、アップルストアの登場をにらみ、対抗策を練っている。
iStoreの購買部門のオールストン・パンは「独立系の小売店は、直営店オープンの影響を受けるだろうが、自分たちは良い立地にあることや固定客をつかんでいることからビジネスがぐらつくことはない」と語った。