アップル、Siriの「重大な危険」 スマートロックは誰でも解錠可能?

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「Alexa」の場合、声で解錠は不能

誤解のないよう書くと、鍵が開いた責任はAugustにある訳ではなく、HomeKitに対応している全てのスマートロックで同じことが起こり得る。Augustはアマゾンの音声アシスタント機能「Alexa」にも対応しているが、アマゾンはこうしたトラブルを予期していたのか、ユーザーはAlexaを使って施錠はできるが、開錠はできないようになっている。

「HomeKitではデバイスのきめ細かい管理ができない。照明やサーモスタットでは可能かもしれないが、スマートロックでは無理だ」とスマートロックメーカー「Lockitron」の共同創業者、ポール・ゲルハルトはツイッターに投稿している。

HomeKitは2014年のリリース以降、徐々にではあるが確実に普及している。先日行われたiPhone 7の発表イベントでは、アップルCEOのティム・クックが年内にスマートロックやサーモスタット、電球、セキュリティカメラなど、100種類ものHomeKit対応デバイスがリリースされることを明らかにした。それら全てがSiriの音声コントロールに対応するという。また、iOS10では、HomeKit対応デバイスを一元管理できる「Home」アプリが用意されている。

これまで、スマートホーム業界は全般的にセキュリティ対策に無頓着であったが、アップルはHomeKitのパートナー企業に厳格なセキュリティ要件を課して改善を図っている。それでも、今回の一件によって浮き彫りになったように、現状のHomeKitは消費者のニーズよりもデベロッパーの囲い込みを優先させている感が否めない。今後、アップルがスマートホームのビジョンを実現させるためには、解決すべき課題が残されているのは明らかだ。

編集=上田裕資

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