P&Gがメディア部門幹部を外部から起用、「生え抜き登用」が原則の同社が新方針

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消費財大手の米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)はこれまで、エントリーレベルの職種以外ではほとんど、外部からの人材登用を行ってこなかった。徹底した「内部昇進制」を導入してきたのだ。

だが、改革を推進する同社はこのほど、これまでの方針を転換し、食品・飲料大手の米モンデリーズ・インターナショナルでメディア・ディレクターを務めてきたジェリー・ダンジェロを、自社のグローバル・メディア・ディレクターに起用すると発表した。ダンジェロがP&Gで成功のチャンスをつかむには、進化し続けるP&Gの企業文化になじむため、膨大な時間とエネルギーを投じる必要があるだろう。

P&Gの内部昇進制は長年にわたり、同社の柱の一つとなってきた。そしてそれは、同社が強力な企業文化を保つ上での大きな利点にもなってきた。同社内で「正しいことをする」とはどういうことか、全ての社員が理解している。また、社内文書はA4の用紙1枚にまとめなければならないことも皆が知っている。だが、一方で内部昇進制にはマイナス面もあった。主に、新しい発想や考え方に対する抵抗などだ。

ただ、実際のところ同社は、これまでにも多くの人材を外部から採用している。技術と販売の分野では必要に迫られ、例外的に外部からの採用を容認してきた。また、長年にわたって行ってきた一連の企業買収によっても、数多くの新たな人材が流入している。

新CEOの挑戦

昨年からP&Gを率いているデビッド・テイラー社長兼最高経営責任者(CEO)は、これまでの慣習を変えようとしている。同氏は外部からの採用を増やす方針を打ち出しており、P&G幹部が明らかにしたところによると、その対象にはマーケティング部門も含まれていた。

ただ、幹部クラスを対象とした新メンバーと既存メンバーとの統合を図るためのプロセス「オンボーディング・プログラム」の準備がP&Gにすでに整っているかどうかは不明だ。買収によってP&Gに加わった幹部の多くは、拘束期間の終了と共に退任する一方、P&Gが直接採用した幹部クラスの人材は少数にとどまっている。
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編集=木内涼子

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