ドン底から復活したウェアラブルの老舗「ガーミン」 創業27年の歴史

Photo by Sean Gallup/Getty Images


ガーミンのウェアラブルの多くは防水仕様で、競合製品に比べてバッテリー寿命が長い。生産は全て台湾の自社工場で行なっており、倉庫やコールセンターも自社で所有している。また、マーケティングやデザイン、エンジニアリングなど全ての工程をインハウスで行っているのも、垂直統合型ビジネスを展開するガーミンならではだ。ペンブルによると、間接費は高いが、アップルやFitbitのように製造を委託する工場の生産能力に依存しないため迅速な生産体制の調節が可能だという。

「このため、ガーミンは他社に比べて代理店や小売店と良好な関係を築きやすい」とウーカウィッツは指摘する。ガーミンは、大手小売りチェーンから小さなショップまであらゆる規模のリテーラーに製品を卸している。

ガーミンはしばらくの間、アクティビティトラッカー市場には参入しなかった。アクティビティトラッカーはガーミンが得意とするスポーツウォッチよりも低価格で、機能性も低く、ユーザー層も異なる。アクティビティトラッカーのユーザーは、運動不足のカウチポテト族が多く、日々の歩数を計測する程度の用途がほとんどだ。この分野のリーダーはシリコンバレーに本拠を置くFitbitで、2009年に最初の製品を開発するとすぐに業界首位に躍り出た。Fitbit以外の主要プレーヤーには、マイクロソフトやJawboneが含まれる。

ガーミンは2年前に満を持してアクティビティトラッカーの開発に乗り出し、機能面を重視した「Vivofit」(99ドル)とより洗練された「Vivosmart」(219ドル)をリリースした。

競合のFitbitを追撃開始

「我々はアクティビティトラッカー市場に新たな価値を提供できると感じた。顧客には、アクティビティトラッカーからよりハイエンドなランニングウォッチまで幅広い製品を提供することができる」とペンブルは語る。この結果、ガーミンの2015年におけるウェアラブル出荷量は前年対比で60%増加し、売上高も倍増した。

ガーミンのユーザーは、専用アプリをダウンロードすることで、自身のデータにアクセスすることができる。アプリは2011年にリリースされ、累計ダウンロード数が1,500万を超える大ヒットとなったが、その3分の1は2015年にダウンロードされている。垂直統合型ビジネスを標ぼうするガーミンは、アプリに関しても自前のアプリストア「ConnectIQ」を2014年にスタートし、サードパーティによる専用アプリも提供している。これはFitbitにはない大きな強みだ。ConnectIQ向けにはこれまでに2,000以上のアプリが開発され、累計ダウンロード数は1,000万DLを超える。

「いまだにガーミンの経営は下り坂だと言う人がいるが、彼らは我々には成長エンジンがあることを忘れている」とペンブルは話す。中年を過ぎてからジョギングを始めたペンブルは、プライベートでもビジネスでも新しいことに果敢にチャレンジすることを大切にしている。「変化の激しいこの時代に一番重要なのは、常に自己改善に努めることだ」と彼は言う。

編集=上田裕資

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