ドン底から復活したウェアラブルの老舗「ガーミン」 創業27年の歴史

Photo by Sean Gallup/Getty Images


ガーミンは、1989年にミン・カオとゲイリー・バレルによって設立された。二人はアライドシグナル社の同僚で、カンザス州オレイサにあるレッドロブスターで夕食を取りながら、会社がGPS技術を重視していないことについて文句を言い合ったことがきっかけでガーミンを創業した。

二人は貯金を取り崩し、家族や友人、投資家から資金援助を受け、合計400万ドルを集めて会社をスタートさせた。最初に雇用した社員が、二人の友人で数学オタクのペンブルだった。「私は会社設立の二日目に参画した」とペンブルは話す。

ガーミンは全てのプロダクトを自社開発する垂直統合型のビジネスモデルを強みとし、2000年にIPOを果たした。ITバブルの崩壊を何とか生き残ると、2003年には売上高が5億7,300万ドルに達し、カオとバレルは初めて「フォーブス400」に名を連ねてビリオネアの仲間入りを果たした。(当時の資産額は、カオが9億7,000万ドル、バレルが8億1,000万ドルだった)

2003年にウェアラブルに参入

同年、ガーミンは最初のウェアラブル、「Forerunner 201」をリリースした。これはGPSを搭載したポケベルサイズのランニングウォッチで、価格は160.7ドルだったが、当時は個人用GPS端末のニーズが小さかったために大きなヒットとはならなかった。ウェアラブルの売上規模は、車載用GPS端末事業とは比較にならないほど小さかった。

iPhoneの登場によってガーミンのGPS事業が大打撃を受け始めると、CEOのカオを補佐する立場にあったCOOのペンブルは、「ウェアラブルこそが会社の救世主になる」と考えた。2013年にペンブルがCEOに就任すると、ガーミンはウェアラブルへの取組みをさらに加速させ、サイクリング、ジョギング、トライアスロン、水泳、ゴルフ、ハイキングなど種目ごとに特化したウェアラブルを次々とリリースした。

ガーミン製ウェアラブルは、高価格だがユーザーのニーズをよく考えて設計されている。例えば、ゴルファー向けの「Approach S6」は価格が350ドルで、スイングスピードが計測できるほか、40,000コース以上のレイアウトが登録されている。また、トライアスロン用の「Forerunner 735XT」は450ドルで、距離や心拍数のほか、水泳のストローク数、サイクリング用の各種指標、最大酸素摂取量などを計測することができる。

「熱心なランナーたちはガーミンを選ぶ。彼らは機能性に優れたガーミンの製品に高いロイヤリティを持っている」とオッペンハイマーのアナリストであるアンドリュー・ウーカウィッツは話す。
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編集=上田裕資

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