これを知って、大いに驚く人たちもいるかもしれない。パキスタンでは何件ものテロ攻撃が発生しており、投資先としては非常に不安定な国だといえる。さらに、国内総生産(GDP)成長率や失業率などの主なマクロ経済指標でも、これら2か国に大きな遅れを取っているからだ(下表を参照)。
パキスタンとインド、中国の主要経済指標
こうしたパキスタンの株式市場の動向について、多くの人たちはどのように見ているのだろうか?
まず、テロ攻撃は通常、取引を中断させるものでない限り、金融市場に影響を与えない。パキスタンでは、そうした影響を及ぼすテロ事件は起きていない。第二に、パキスタンは新興国市場というよりもフロンティア市場だ。次世代の新興市場と考えられているフロンティア市場は、より人気が高い。ただ、フロンティア市場の株価が大きく乱高下するものであることには、注意が必要だ。
第三に、パキスタンの市場の改革に向けた努力が、外国からの信頼獲得につながっている。世界銀行は同国への支援として10億ドル(約1,020億円)の拠出を約束。また、上海電力(Shanghai Electric Power Co.,)とパキスタンの電力事業者Kエレクトリック(K-Electric Company)が買収で合意するなど、外国企業によるパキスタン企業買収の動きもいくつかみられる。こうしたことが、外国人投資家を安心させている。
一方、パキスタン市場が外国の組織や投資家たちから支持を得ているのに対し、中国市場は政府の強圧的な介入により不安定さを増している。外国人投資家らは、中国に投資した資金を引き揚げている。また、インドは改革の方針を維持しているものの、その実行に問題を抱えている。