ソーシャルメディア経由で超富裕層に営業をかけることも可能だ。旅行業者のステーシー・スモールは世界各地を旅行し、一流のスイートルームやビラを視察。その写真を、自分のインスタグラムやフェイスブックに投稿している。顧客はそれを見て、気に入ったものがあれば彼女に予約を依頼するインスタント・メッセージを送る。その簡単なやりとりで数十万ドルが動くことも少なくない。
大手高級ブランドはより多くのカテゴリーで、より多彩な製品を販売するようになっているが、超富裕層はこうした新商品にどこまで詳しいのだろうか。時計・宝石業界のベテラン販売員であるジョン・オマーは、超富裕層の顧客は、高級品を身に着けることで他人に自らの立場を誇示する必要を感じることがないまま、巨額の富を築いた人が多いと指摘する。
そのためヨーロッパのブランド名が発音できないこともあり、言うまでもなくブランドの歴史や彼らが何を売っているのかを知らない人もいるという。それでも適切なアプローチと、彼らが何を望んでいるかを読み解く才覚によって、オマーをはじめとするスーパースターたちは、超富裕層に何億ドル相当もの高級品やサービスを販売してきた。
マーケティング担当上級副社長の経験もある共著者のマイケル・コールマンは、こう言う。「大手企業の経営幹部レベルにいると、こうした直接的なフィードバックを得ることは難しい。この新著は、超富裕層の財布の紐をもっと緩めたいマーケティング担当者や販売員のための手引書だ」