テクノロジー

2016.09.19 12:00

元グーグルの中国人投資家が描く「北京版シリコンバレー」の夢

Creative Lab / Shutterstock.com

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中国のリー・カイフー(李開復)が設立したベンチャーキャピタル、シノベーション・ベンチャーズ(Sinovation Ventures、旧イノベーション・ワークス)が、6億7,400万ドル(約629億円)を調達した。中国のベンチャーファンドの資金調達はこの数年低迷しているものの、中国のテックエコノミーはこの10年間で着実に拡大しているようだ。

リーはグーグルの中国部門のトップを辞職した2009年、北京のテックハブである中関村にシノベーション・ベンチャーズを設立し、インキュベーターとVCを運営している。同社は約300のテック系スタートアップに投資し、中国のテクノロジーの発展と共に歩んできた。

2009年に1億1,500万ドル(約118億円)だったファンドの運用額は、2012年に2億7,500万ドル(約282億円)に拡大。中国の厳しい生存環境の中で、テックイノベーションの飛躍を支えている。

同社のファンドは人工知能やロボティクスといった次世代技術から、エンタメ分野や企業向けソフトウェアといった領域をカバーしている。シノベーション・ベンチャーズは米国と中国企業を投資対象にし、中国のアントレプレナーの野心や創造力を、シリコンバレーの豊富なノウハウと結びつけようとしている。

今回調達したうち約3億ドル(約308億円)は、米国で運用する3番目のファンドに投入し、残りの3億7400万ドル(約384億円)は、中国のスタートアップ向けの人民元建てファンドに振り向ける。中国のアントレプレナーが現地通貨で資金を調達し、上場を果たせるよう、同社は人民元建てのファンドを展開している。

同社の米側のオペレーションを担当するクリス・エヴデモンは、北京で経験を積んだ後2年前にシリコンバレーに移り、この2年で34社に投資。出資先の経営に助言している。

シノベーション・ベンチャーズの出資先には、ロボットのDashとDoを通じて子供たちにプログラミング楽しく教えるWonder Workshopsやテーマパーク向けにVRコンテンツを制作するSpaceが名を連ねる。

エヴデモンが最初にポートフォリオに入れたモバイル検索アプリVurbは今年8月中旬、スナップチャットに1億1,000万ドル(約113億円)で買収され、イグジットを果たした。また、自撮り写真アプリのMeitu(美図)は香港市場でのIPOを模索しており、今年のテック企業の大規模IPO案件として期待されている。

編集=上田裕資

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