TPGはこれまでにファッションブランドのJ.クルーやバーガーキングに出資しており、ジェーバーはTPGのコンシューマ・ビジネスにおける知見に期待をしていると述べている。ジェーバーによると、今回のラウンド後もジェーバーとフィルの親子で議決権の過半数を握っており、事業売却の意思は全くないという。今後もこれまで通り彼の経営理念に反することは一切せず、FC展開やグッズのライセンス供与は行わないという。
都市部の富裕層がターゲット
フォーブスの推計によると、現在のフィルズコーヒーの年商は5,000万ドルほどで、最大手のスターバックスに追いつくのは容易ではない。しかし、独自のスタイルを貫く経営手法はブランド価値を長続きさせる可能性が高い。同社はやみくもに店舗数を増やすのではなく、富裕層の多い都市部に限定して、同一エリアに複数店舗をオープンさせる戦略をとっている。例えば、ロサンゼルスには2年前に進出しているが、もうじき5店舗目と6店舗目をオープンする予定だ。また、ワシントンD.C.では2店舗を運営しており、間もなく隣接するメリーランド州とバージニア州にも出店する計画だ。
フィルズコーヒーが次に進出を予定しているのが大学町として知られるボストンで、学生層をターゲットにするのが狙いだという。ボストンはダンキンドーナツの本拠地だが、ジェーバーはフィルズのようなハイエンドなコーヒーショップにも十分チャンスがあると考えている。
「我々は地元のブランドをリスペクトしているが、フィルズコーヒーは彼らとは全く異なり、ライバルとは考えていない。我々独自の文化を広めていきたい」とジェーバーは語る。