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2016.09.15

VW古参社員が排ガス不正問題で有罪答弁、幹部訴追の可能性も浮上

(Photo by Harold Cunningham/Getty Images)


被告の検察側への協力は、VWの経営陣を窮地に追い込む可能性がある。同社はこの1年、上層部は不正行為について認識していなかったと主張してきた。ただ、昨秋にマーティン・ビンターコルン前会長が辞任したほか、これまでに複数の幹部が地位を追われている。

おそらく米・独両国で勤務してきたリアン被告は、VWの指揮系統のどこまでが不正の事実を認識していたか正確に把握し得る立場にあり、そのことを裏付ける電子メールや報告書などを保管している可能性がある。VWの関係者は被告の答弁について、コメントを控えている。

米司法省によると、VWの不正行為は2006年に始まり、2009~15年に販売されたVWの「ゴルフ」「ジェッタ」などのほか、アウディ・ブランドのモデルに搭載したディーゼルエンジンに、不正なソフトを搭載していた。

司法省は24ページにわたる起訴状の中で、「リアン被告と同僚たちはVWが新たな『クリーンディーゼル』車を開発するプロセスのほぼ最初の段階から、米国の排出基準を満たすような設計にはしていなかった。その上で、基準を満たしているように見せかけて不正に排ガス試験をクリアさせていた」と指摘している。

リアン被告は司法取引に応じたことにより、その他の人物の訴追に関連して大陪審や公判での証言を行い、米当局を支援することになる。また、独当局が進めている捜査にも協力することになる。被告の協力が「捜査や訴追に大いに貢献した」と検察側が判断すれば、より軽い刑が求刑されることになる。

VWは昨年、世界全体で約1,100万台、米国では約60万台のディーゼル車に違法ソフトを搭載し、規制当局に虚偽の排ガス試験データを提出していたことを認めた。そして、今年6月には米国で販売された不正車両の買い戻しや所有者への補償にあてる費用として総額150億ドルを支払うことで合意。さらに8月には米国内の販売店に対し、不正問題を受けて販売が禁止された在庫分に対する補償として、総額12億ドルを支払うことで合意している。

編集 = 木内涼子

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