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2016.09.14

iPhone 7発売週末の販売台数、アップルが非公開にする2つの理由とは

AndrewFirst / Shutterstock.com

「iPhone 7」と「iPhone 7 Plus」を9月8日(日本時間)に発表、同月16日に発売することを明らかにした米アップルは、事前の予約件数と発売日から最初の週末までの販売台数を公表しない方針を明らかにした。ロイターなど複数の報道機関に対して伝えたもので、異例の対応となる。

ロイターによるとアップルの広報担当者は、「流通チャンネルを拡大し、世界各地の数多くの携帯電話事業者やリセール業者などを通じて販売していることから、現在では予約件数を把握するよりも前に、製品を納品する形になっている。つまり、最初の週末までの販売台数は需要を示すものではなく、供給数を示すものになっている」と説明。そのため、「もはや投資家や顧客向けに、公開すべき指標とはいえなくなった」のだという。

販売データを公開しないということは、特に驚くことでもない。どこかの時点で、最新機種が過去に発売した機種の初週の販売台数を下回ることは分かっているからだ。

だが、アップルは「iPhone 4」から「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」の発売時まで、予約開始日に受け付けた予約件数を発表してきた。これらの件数は当然ながら、それぞれの機種にどれだけの需要があったかを示すものだ。最新機種の「iPhone 7」についても、同じ数字を公開することは可能だろう。それでも同社は、公にしないことを選んだのだ。

以下、「iPhone 3」から「iPhone 6」シリーズの発売から最初の週末までの販売台数を紹介する(かっこ内は、予約開始日の受け付け件数)。

・ iPhone 3: 約100万台
・ iPhone 3G: 100万台以上
・ iPhone 3GS: 約170万台(60万件)
・ iPhone 4S: 400万台以上(100万件以上)
・ iPhone 5: 500万台以上(200万件以上)
・ iPhone 5c & 5s: 900万台以上
・ iPhone 6 & 6 Plus: 1,000万台以上(400万件以上)
・ iPhone 6s & 6s Plus: 1,300万台以上

9月期の利益予想に再び言及

「iPhone 7」の発売前に投資家らに対し、予約開始日の受け付け件数を公開しないということは、アップルがその件数について、投資家の期待を下回ることを予想しているからかもしれない。

また、同社が利益予想(ガイダンス)を強調するのは非常に珍しいことだが、今年7~9月期のガイダンスを改めて明らかにした。この時点でそうすることにより、販売台数を明らかにしない方針から注意をそらしたい考えもあるだろう。だが、もう一つの理由が考えられる。

発売日から最初の週末までの販売台数を明かにしないことによって7~9月期の売上高が(自然に)抑制され、同時に10~12月期の売上高が大きく伸びることを狙っているとも考えられるのだ。

10~12月期は14週間あり、第13週の週末は12月24日の土曜日にあたる。一部の出荷を遅らせて10月期に回すことができれば、(繁忙期となる)クリスマスの休暇シーズン中に、販売台数をさらに大きく引き上げることが可能になると考えられる。通期利益を発表する際には、どの四半期により多くを売ってより多くの利益を出していようと、そう大きな問題ではないはずだが──。

編集 = 木内涼子

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