つまり、海外から輸入したり、外国で買ったものを持ち帰ったりして使用しているユーザーは、自腹を切って端末を発売元の国に郵送し、現地で誰かに手続きを代行してもらわない限り、交換は不可能ということだ。通常の返品手続きでは、これはいたって当たり前のことだ。マレーシアで購入してオーストラリアに持ち帰ったプレイステーションは、たとえコントローラーのボタンが壊れたとしても、近くの店舗では返品に応じてくれないだろう。
だが、ギャラクシーノート7の欠陥はありふれた類いのものではなく、人の命にかかわるものだ。巷では、爆発によって火災が起きたとか、子供がけがをしたという話が次々と伝えられている。航空各社は、乗客がギャラクシーノート7を機内に持ち込む可能性に不安を募らせており、一部は同端末の機内持ち込みを禁止するに至っている。ついにはサムスン本社でさえもが、全世界のユーザーに向け、ギャラクシーノート7の使用を中止するよう勧告した。
問題がここまで深刻なのだから、サムスンは販売済みのギャラクシーノート7の全てについて、発売元の国・地域にかかわらず交換に応じるべきだ。グローバル化が進んだ現在、製品に地域ごとの制限を設けるのは時代遅れだ。コストの増大や配送手続きの煩雑化は避けられないが、全責任はサムスン側にあるのだからここは苦汁をなめるほかない。
サムスンが取るべき正しい行動は、損失を覚悟のうえで交換プログラムをボーダーレス化し、ギャラクシーノート7の全ユーザーが最寄りの店舗で欠陥端末を安全な端末に交換できるよう計らうことだ。