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2016.09.12

9.11が米国に与えた健康被害、多種のがんからPTSDまで

Anthony Correia / Shutterstock.com

ニューヨークの世界貿易センタービルに航空機2機が突っ込んだ米同時多発テロ事件の発生から、9月11日で15年を迎えた。ニューヨークに住む多くの人たちは、2,996人が死亡したあの日からずっと、事件の記憶と共に生きている。

一方、事件後に亡くなった人の数や、事件をきっかけに発症した病気で今も苦しんでいる人の数はいまだに明らかになっていない。

問題は、崩れ落ちたビルから立ち上り、マンハッタン島南部を覆った煙には、航空燃料からアスベスト、繊維ガラス、金属、廃棄物、ごみ、糞便物質などのさまざまな有害物質が含まれていたということだ。そして、その他に何が含まれていたのか、誰にも分からない。

当局関係者は事件後すぐに、住民たちにニューヨークに戻ることを勧めた。恐らくこの金融街をできるだけ早く、元通りに稼働させたいとの考えからだろう。しかし、それが安全だと断言した当局の判断は、時期尚早だったかもしれない。

事件で発生したがれきとそこに含まれた有害物質の多くは、その後も長期間にわたって、この地域に残された。複数の調査の結果、救助隊員たちや清掃作業にあたった人たち、周辺地区で働く人たちや住民の多くが、健康への悪影響を受けたことが分かっている。

事件に関連した健康障害(病名)のリストはその後も長くなり続け、次のような心身の症状を含むようになっている──ぜんそく、喉頭炎、胃食道逆流症(GERD)、間質性肺疾患、反応性航空機能不全症候群(RADS)などの肺病。不安障害やうつ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、薬物乱用などの慢性的な精神的健康への影響。リンパ腫や白血病、中皮腫、結腸がん、頭頸部がん、乳がん、膀胱がんなど、さまざまな種類のがん。

これまでの研究で明らかになっている病名は、ごく一部にすぎない可能性もある。医療保険に加入していなかったことや、言語や社会・文化的な問題の影響で、診察を受けていない周辺地域の住民も大勢いるだろう。
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編集 = 木内涼子

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