ビジネス

2016.09.16 08:00

サスティナビリティをもっと企業価値に[ウーマン・イノベーターズ05]

「アンプリーンAmpleen」の創始者、関口匠子さん

いわゆる“成功している”女性とは、どんなキャリアを経て、どんな思いで仕事に向き合っているのか。働くフィールドは違ってもそこに共通点はあるのか?

女性たちへの同一の質問を通してそれを探っていく連載「ウーマン・イノベーターズ」第5回は、ニューヨークに移住して10数年の起業家、関口匠子さんが登場。「サスティナビリティ」を推進するコンサルティング会社「アンプリーン(Ampleen)」を経営し、今最も自分をモチベートさせるものは“地球温暖化”だと話す彼女に、これまでとこれからを聞いた。

Q1. 現在のお仕事について教えてください。

経営戦略を立てる上で注目され始めている「サスティナビリティ(持続可能性)」を企業価値に組み込むようコンサルをする企業アンプリーン(Ampleen)を、ニューヨークで経営しています。

サスティナビリティとは、企業を環境・社会・経済という3つの側面から総合的に評価することで生まれる価値のこと。これまで企業は、専ら財務パフォーマンスのみで評価されてきたため、企業活動が引き起こす環境問題や社会問題は黙視され続けましたが、気候変動が顕著になったことを契機に、こうした問題への対応が多く語られるようになりました。

以前のように短期集中の成功を収めるのではなく、個人の生活や地球環境をバランスよく保ちながら、将来にわたって存続できるよう企業の事業活動を展開していく。ユニリーバやリーバイスのような名だたるグローバル企業は、このサスティナビリティを枠組みに新たな経営戦略をたて成功しています。

アンプリーンでは、サスティナビリティの先駆者として企業文化を徐々にかえていくべく、クライアントのコアバリューを尊重しながら、新しい戦略の設計から人材研修、投資家向けリポートの作成に至るまで様々なサポートを提供しています。

Q2. 今のお仕事を選んだ理由はなんですか?

9年ほど前に“良性発作性頭位めまい症”で一週間ほど起き上がれない経験をしました。元サッカー女子日本代表の澤穂希選手が2012年に開催されたアルガルベカップ中に体調不良と訴えたのと同じ症状です。

初めて発症したときは、常にジェットコースターに乗っているようで非常に辛かったです。最悪なことに、病院で様々な検査を受けても原因がわからず、その時にはじめてライフスタイルの見直しを考えました。当時私はIT分野で非常にストレスのある役職に就き、眠らない街ニューヨークで不規則な生活を送っていました。

そこで思い立ち、マサチューセッツ州にあるヨガのリトリートに赴きました。ヨガやハイキングで無理なく体を動かし、オーガニックや地元で取れた食材を食べ、日常とは違う人々と出会う。仕事や日常生活から離れ10日間ほど過ごすことで、健全なバランスを取り戻し、めまいもなくなり、自分を見つめ直す機会を得たのです。

ニューヨークの物質主義にどっぷりとつかって、大きなビジョンを失い、毎日をただ忙しく生きていた自分を見直す良い機会でした。この経験は、後になって、私の生活観や人生観に大いなる変化をもたらします。

現在、都市に住む人々の生活にも様々な側面でひずみが見られ、多くは疲弊しています。これは私が実際に経験したことに関連性があるのではないか、と思いはじめました。そこで、企業で生きる自分にまず何ができるか考え、グリーンITやグリーンビルについて学び、社内セミナーを開き知識共有し始めたのが、現在の仕事をはじめるきっかけとなりました。
次ページ > 最初のキャリアは“教師”だった

編集=Forbes JAPAN 編集部

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事