小栗旬、綾野剛を育てた映画プロデューサー、山本又一郎が原点を語る

山本又一朗 トライストーン・エンタテイメント 代表取締役(写真=河崎夕子)


この6月に僕の恩師、リイド社の斉藤發司社長が亡くなられたんです。漫画『ゴルゴ13』の作者であるさいとう・たかを氏の兄で、僕の人生で最初の社長です。いつだったか「おい、後ろに乗っているワシは荷物やないぞ。急ブレーキ、急発進すな、アホンダラ。コップの水置いてこぼさんような運転せい!」と僕をどついたその口で「どアホ! さっさと行かんかい!」といわれてね(笑)。つまり「もたもたせんと走れ。せやけどコップの水もこぼすな。そのギリギリの間でするんが芸術的な運転じゃ」と。思えばこの言葉は40年間の僕のクリエイティブを支える指針になった。決断力、判断力、スピード、緻密性すべてが込められていました。

ドイツの哲学者マルティン・ハイデッガーの言葉を借りるまでもなく、人はいつか必ず死にます。でも死ぬ寸前にいい人生だったと思いたいでしょう。それには欲求を持ち続けることが大事。僕自身はいつか「これが映画をつくり続けてきた証しです」と胸を張れるような作品をつくりたい。人生これからですよ(笑)。



山本又一朗の好きなものたち

[ハマっているもの]
最近、単語がすぐに出てこないことが多くて、記憶の活性化にと若い頃にハマっていた麻雀を再び始めました。大阪の自宅とRoyにも麻雀室があるのですが、4人で卓を囲むとそれぞれの違う面も見られて楽しいですよ。

[ワインコレクション]
ワインにハマったのは、4年ほど前にフランシス・コッポラに死ぬほど飲まされてから。いまはナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンが好みですね。

[趣味]
ゴルフと野球。会社に野球チームがあって、年に7、8試合ほど行った年もあります。僕はサードで1番か4番。漫画家の小山ゆうさんのチームと、「上腕二頭筋」という小栗旬率いる役者ばかりのチームがあって、このふたつが好敵手ですね。

やまもと・またいちろう◎1947年、鹿児島県生まれ。映画プロデュースの代表作に『太陽を盗んだ男』『ベルサイユのばら』『クローズZERO』『ルパン三世』『新宿スワン』など。93年、トライストーン・エンタテイメントを立ち上げ、俳優を育成している。

堀 香織 = 構成

この記事は 「Forbes JAPAN No.26 2016年9月号(2016/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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