「映画に登場するような良心を持ったものではなく、殺傷能力の高いロボット型兵器が実戦で使用されるようになるかもしれない」とセルバ大将は述べ、思考能力を持つロボット兵器に対する懸念を表明した。
筆者のようなテック業界の人間は、人類が開発したテクノロジーがいずれ我々を破滅に追いやるようなストーリーをジョークとして語るのが好きだが、軍関係者がそうした話をするのを聞くのは興味深いものだ。彼らが公の場でこうした話をするのは、最先端兵器の開発予算を獲得するための根回しのためかもしれない。
セルバ大将はロボット兵器の開発においては、コマンドモジュールや制御モジュールの分野などで民間企業と協業する方針を表明した。政府がグーグルと共同で無人兵器システムを開発するといった図式は、まさにスカイネット(映画「ターミネーター」に登場する自我を持ったコンピュータ)を彷彿とさせる。
政府はスーパーロボットの開発に先立ち、まずは映画や今回のようなプレゼンテーションを通じて我々がそのコンセプトに慣れ、いざ開発していることを明らかにしても驚かないように仕向けているのかもしれない。映画「スタートレック」に登場する技術も今や科学的に実現可能になりつつある。残忍な兵器であれば最初は憤りを感じるだろうが、すぐに慣れてしまうに違いない。
ロボットは核兵器と同じ脅威になる
しかし、核兵器がそうであったように、自分たちを防衛するために開発したロボットが、将来的には我々の脅威になるリスクを考慮しなくてはならない。政府はロボットが人類に反旗を翻した場合に備えて防御システムを構築するのかもしれないが、それは核兵器が全世界に拡散してしまったのと同じような結果をもたらすかもしれない。
アメリカとロシアは自国を防衛するために核兵器の開発を続けた結果、今や世界の総数である15,000発の大半を両国で保有している。ドナルド・トランプが次期大統領に当選し、大量の核兵器の命運を握ることへの懸念も高まっているが、ロボット兵器を保有する国のリーダーの方がはるかに大きな脅威になるだろう。映画「アイロボット」で描かれた世界が現実のものになる日がいずれ訪れるかもしれない。
もしも映画の中から我々の未来図を選択することができるとしたら、筆者はターミネーターよりも猿の惑星を選ぶ。少なくとも猿は説得できる可能性があるが、T-1000(ターミネーターに登場するアンドロイド)を説得することは不可能だからだ。