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2016.09.11

死亡者相次ぐ中国のiPhone工場 8月は2名の工員が犠牲に

BartlomiejMagierowski / Shutterstock.com

iPhone7の発売が正式に発表された。6Sからの大きなアップグレードはないが、アップル製品である以上ヒットは疑いない。

しかし、巨大な需要は製造現場への圧力にもなる。残念なことに、このグローバルな製造サイクルの中で、再び工場の労働者が犠牲になった。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、世界のiPhoneとiPadの大半を製造するフォックスコンの中国工場で8月、2人の工員が相次ぎ死亡した。

犠牲者の一人は過去の事件と同じように、仕事の後に鄭州にある工場の屋上から投身自殺した。悪名高い同社の劣悪な労働環境が彼を死に追いやったのかもしれないが、正確な動機は特定できておらず、仕事とは無関係の可能性もある。

もう一人の犠牲者である女性工員は8月19日、通勤途中に列車にはねられて死亡したという。彼女はなぜはねられたのか。WSJの記者は、女性工員は通勤への道が豪雨で通れなかったため、フェンスを越えて線路を渡ろうとしたところを列車にはねられたと指摘する。フォックスコンは工員が欠勤した場合、その理由が悪天候によるものであっても賃金を差し引いていたという。

2件の死亡事故で、フォックスコンのひどい労働環境が再び注目されている。貧しい工員は高額なアップルの製品を組み立てるためにわずかな賃金で雇われ、時には一週間休みなしの1日14時間労働を強いられる。

フォックスコンは最近、iPhone 7の生産のために数万人を新規雇用したという。アップルは2010年にフォックスコンで自殺者が相次いだ問題を受け、工場の定期監査を行うなどサプライヤーの監督を始めた。フォックスコンが取引するメーカーはアップルだけではないが、米誌The Atlanticの過去の報道によると、フォックスコンの事故の大半はアップルの生産ラインで発生している。世界最大の時価総額を持つ企業ができることはもっとあるはずだ。

もちろん、全ての問題は最終的に中国の労働法に帰結する。米ニュースメディアWiredは昨年、中国の工場の環境を改善したくても、規制に阻まれ、見て見ぬふりをする行政機関もあることから、ほとんど不可能だと指摘した。

フォックスコンとアップルは死亡事故について哀悼の意を表明した。

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編集=上田裕資

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