筆者はLGのファンであり、同社の新しいことに挑戦する姿勢を尊敬している。しかし、評判の良い挑戦ばかりではなく、G5ではモジュールを交換できる機能を搭載したが、実用性よりもそれに伴う問題の方が目立ってしまった。一方でクアッドHDディスプレイや背面の指紋認証、常時オンのディスプレイ、デュアルカメラなど、他社が取り入れた機能もある。
V20ではこれまでと同様にバッテリーが取り外し可能だ(他社のフラッグシップモデルで取り外せるものはない)。さらにセカンドディスプレイやデュアルカメラ(両方とも背面)の機能もV10から引き継いでいる。アップルはiPhone 7でワイヤレスイヤホンを導入するが、V20ではデジタル信号をアナログに変換するハイファイDACが搭載されている。
V20の音質へのこだわりにはLGの確固たるポリシーを表している。V20は特定のユーザーをターゲットとしたニッチな市場を狙うスマホなのだ。ストリーミングサービスに注力するアップルは ユーザーが“良い”音質と“フラットな”音質の違いを気にしないと考えているが、LGは自宅でレコードを聴き高価なヘッドフォンを所有するオーディオマニアをターゲットにしている。
この端末には「LG Hi-Fi Plus with B&O PLAY」と呼ばれるポータブルHi-Fi DACが搭載され、384KHz/32-bitまでのハイレゾオーディオの再生をサポートする。
さらに、LGがこだわったのはオーディオだけではない。V20では録画にも力を入れており、ジャイロスコープを利用し録画時の揺れを最小限に抑える機能も導入された。背面のデュアルカメラのオートフォーカスではレーザー照射式、位相差検出式、コントラスト式も選択可能になっている。
LGのV10は2015年に発売されたスマホの中で最も優れた録画機能を持っていたが、V20もその地位を継承する仕上がりだ。
しかし、V20が売れるかどうかというと、iPhone 7の販売台数の半分に届くとも思えない。それもそのはず、V20は一般の消費者をターゲットにしていないのだから仕方ない。この端末がターゲットとするのは、モバイルデバイス開発者向けのコミュニティサイトXDAを毎日チェックするような、筆者のようなマニアックな人々なのだ。