ビジネス

2016.09.19

「世界第2の起業都市」ニューヨークの最新事情

vichie81 / shutterstock.com


女性起業家の割合は?

ー女性起業家の割合は、ニューヨークのほうがシリコンバレーより高いそうですね。

ギンズバーグ:調査結果によって、異なるデータが出ている。スタートアップ・ゲノムによると、女性創業者の割合は、シリコンバレーが24%、ニューヨーク市が16%。ニューヨークは、北米平均(24%)よりも低い。一方、(ニューヨークのシンクタンク)都市未来センターと(スタートアップ関連のデータベース)クランチベースが発表した報告書によれば、女性創業者による会社の数では、ニューヨーク市が最多になっている。

多様性の面で市場参入では優位

ーニューヨークとシリコンバレーのスタートアップは、どう違うのでしょうか。

ギンズバーグ:ニューヨークは大きな進歩を遂げたとはいえ、スタートアップエコシステムの質の点では、シリコンバレーに遠く及ばない。テクノロジーも、シリコンバレーが多様であるのに対し、1990年代に(マンハッタンのハイテク企業の集積地区)「シリコンアレー」で起こったドットコムバブルがeコマースに集中していたように、ニューヨークは狭い範囲にフォーカスしている。

ハイテク技術者へのアクセスも、主要な問題の一つだ。もっと人材が必要だ。一方、民族の多様性やグローバル性、国外の顧客へのアクセスといった強みにより、市場参入の点ではシリコンバレーに勝っている。
 
ニューヨークのスタートアップエコシステムは勢いに乗っているが、歴史が浅いため、シリコンバレーに追いつくには、まだまだ時間がかかる。とはいえ、私の見通しは楽観的だ。今後10〜20年で、ニューヨークが、技術革新とスタートアップの都になるべく最大の可能性を発揮するよう期待している。

アリ・ギンズバーグ◎ニューヨーク大学ビジネススクール教授。専門は起業と経営。特に企業内起業や新ベンチャー開発、技術革新、ビジネス戦略、クリーンテクノロジー・セクターにおけるイノベーションエコシステムの形成などに詳しい。

文=肥田美佐子

この記事は 「Forbes JAPAN No.26 2016年9月号(2016/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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