取引額1.4兆円の個人売買アプリ「OfferUp」が新ユニコーンの仲間入り

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個人間売買のマーケットプレイスアプリを提供するOfferUp社が、米テック業界の新たなユニコーンとして浮上した。

9月7日、米シアトルに本拠を置くOfferUpはプライベート・エクイティファームのウォーバーグ・ピンカス(Warburg Pincus)が主導の調達ラウンドで、1億1,900万ドル(約121億円)を調達したことを発表した。OfferUp共同創業者のNick Huzarは金額の詳細については言明を避けたが、同社の評価額は10億ドル以上だったと述べた。8月の報道で同社は評価額12億ドル以上で資金調達を狙っているとされていた。

Huzarはフォーブスの電話インタビューで、評価額については気にしてないと述べた。同社の価値は2014年には7,000万ドル程度でしかなかったが、「それよりも取引額で会社の価値を評価して欲しい」と述べた。OfferUpはモバイル端末上で個人が商品を売買可能なプラットフォームを運営し、今年の取引額は140億ドル(約1.4兆円)に達する見込みだ。2015年の取引額29億ドルから急成長を遂げている。

米国のみで約3千万ダウンロードを達成

OfferUpは米国最大のモバイルに特化した個人間売買プラットフォームだが、熾烈な競争にさらされている。5月には競合のWallapop とLetgoが米国のオペレーションでLetgoに統合され、資金調達額の累計が2億ドルを超える企業となった。Letgoは世界3千万ダウンロードを超えるプラットフォームとして、来期は取引額132億ドルを目標に掲げている。

「この市場の規模は非常に莫大なものだ」とHuzarは述べた。「OfferUpは主要なプレイヤーとしてのポジションを確立し、競合からの脅威も感じていない。市場の拡大に向けて前進あるのみだ」と彼は述べている。

OfferUpは米国のみで展開し、これまで2,900万ダウンロードを突破した。アクティブユーザー数は非公開だが、平均的ユーザーは一日に約26分間このアプリを利用し、衣類や車などの商品を眺めているという。

しかし、OfferUpは依然として決定的な収益基盤を築いていない。同社はクレイグリストと同じく、ユーザーらの取引額から収益を得ていない。Huzarは別の収益化の道を模索中だという。今後はアプリ内での広告表示やスポンサー枠のリスティングが優先的に表示されるといったビジネスモデルが想定される。

HuzarはOfferUpが利益を生まないまま継続することは不可能であり、永遠に巨額な資金を調達し続けることが難しいことも認識している。ただし、OfferUp利点は新規ユーザー獲得に費用を投じる必要が無く、オーガニックの誘導のみで成長を遂げたことだ。その点がウォーバーグ・ピンカスやGGVキャピタル、Altimeterキャピタルといった企業に評価された。

「市場環境は常に動いています」とHuzarは言う。「投資家たちはより厳しい目でビジネスモデルの精査にあたっています。私個人はマクロの動きをさほど気にはしていませんが、厳しい目で見られることがこの分野の成長に寄与すると考えます」と彼は語った。

編集=上田裕資

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