採取方法は当然ながら、牛乳やアーモンドミルクとは全く異なる。ゴキブリをつぶすことなく殺し、腹部を切り開いて光沢のある結晶化したミルクを取り出す。保存は比較的簡単で、酸度やアルカリ度が低い中性のpH値環境に置いておけばよい。
取り出されたミルクは「結晶」と表現されていることから分かる通り、スーパーで売っているような白い液状のミルクではない。果敢にも味見した研究者によると、「味は全くしない」という。このため、将来的に製品化される場合、アーモンドミルクや牛乳のアイスクリームのような形ではなく、プロテインドリンクやサプリメント、エナジーバーなどの形態が最適だろうと、研究チームは語っている。
研究チームは製品化を目指し、安全性の確保に必要な情報であるミルクの立体構造の解明を進めている。生物工学を用い、同じタンパク質をゴキブリではなく酵母に生産させる方法も期待を集めている。うまくいけば10年以内にも製品化が実現する可能性があるという。