米国へのメキシコ人不法移民、10年で8割減 「壁」は不要?

(Photo by John Moore/Getty Images)


米税関・国境警備局によると、米南西部のメキシコ国境で2005年度中に逮捕された不法移民は約100万人だった。だが、2015年度は18万6,017人だった。また、2016年度の最初の10か月間では、この人数は16万196人となっている。

合法的な新たな措置が必要

2011年以降、季節農業労働者向けの「H-2Aビザ」のメキシコ人の取得者数は増加している。これは同時に、同国からの不法入国者が減少していることを示すものとも考えられる。以前なら不法入国を試みていたであろう人たちがビザを取得し、合法的に入国するようになっているとみることができるからだ。これは、前向きな変化と捉えられる。

H-2Aビザの発給件数の増加につながっているのは、米国の農業分野での季節労働力の不足だ。2011年度のH-2Aビザの発給件数は5万5,384件だったものの、2015年度には10万8,144件に増えた。米国の農業分野にとって現在、問題となっているのはビザの申請から発給までの手続きに時間がかかっていることだ。

高い技術を必要としない仕事に就きたい外国人が米国内で合法的に就労するための新たな方法を検討せず、壁を建設しようとすることは、ただ単に現状維持を継続させるだけだ。壁の建設は、不法入国者を減らす方法としての賢い考えではない。また、新しいアプローチでもない。

編集 = 木内涼子

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