自ら先端技術のモルモットに、シリコンバレーの「姉御」の超速人生

渡辺千賀 Blueshift Global Partners 社長(写真=ラミン・ラヒミアン)

「シリコンバレーや最先端テクノロジーに興味を持つ日本企業に、『この人なしでは』と頼られる人」。2000年からシリコンバレーに住み、日米企業間の先端技術に関わるコンサルタントや戦略立案を行う渡辺千賀は、そう評される。現地の日本人プロフェッショナルを支援するNPOの代表も務め、渡辺をよく知るエンジニアからは「変人」とも呼ばれ、慕われる。

「変人ですか?きっと、独自の膨大なルートで情報収集をし、それに依って行動しているから、そう見えるのかもれません」

Podcastを6倍速で聴くアプリを使う彼女は、まさに倍速で生きて未来を先取りしているようだ。最先端テクノロジーやアプリは真っ先に試さずにはいられない。「誰よりも先駆けて、最先端テクノロジーのモルモットとなってトライします」と言い、「人に会うことが最も面白い」と、大量の情報をものすごいスピードで見たり読んだり聞いたりしながら、自分の脳に起きる変化を実感する。

東京大学工学部を卒業後、三菱商事、マッキンゼーで働きながら、ある日、ふと思ったという。通勤、会食、会議。この3つを合わせたら週にのべ30時間にもなる。“これは無駄だ”と。そして、こう決意するのだ。“この3つをなくす人生を送ろう”。

27歳の時、MBA留学へ行くか否かで迷ったが、結婚と渡米をマトリクスで考え、どうせ結婚できないならと渡米(とはいえ、現地で出会った男性と結婚)。

超速人生の原動力は好奇心だ。テクノロジー・フェチの彼女は、未来をこう見る。資本主義、正規雇用、大企業。こうした従来の枠組みが、この先20年で今ほどの価値はなくなり、「テクノロジーによって、社会構造そのものが産業革命レベルで変わります」。では、その次に来るものは?そう問うと、コンサルタントを天職とする彼女らしい答えが返ってきた。「それを考えるのが楽しくて仕方ありません」。



Q1 人生で最も辛かった経験は?

パリへの旅行で、財布・パスポート・iPhoneすべてが入ったバッグを盗まれた時。クラウドのおかげで九死に一生を得た。

Q2 ターニングポイントは?

27歳のMBA留学。迷っていた時パロアルト出張でMBAの先輩がジーンズ、スニーカーで車から降りてきて、これだ、と思った。

Q3 影響を受けた実在の人物は?

アメリカの投稿サイトで性転換した人が男女差別について語っていて、同一人物が同じ仕事をしても周りの評価が違うことに驚いた。

Q4 原動力となる言葉

言葉は特にないが、やはり「好奇心」を満たす仕事をずっとやっていたい。

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文=岩坪文子

この記事は 「Forbes JAPAN No.26 2016年9月号(2016/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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