ビジネス

2016.09.04 09:00

「反ファスト・ファッション」で世界を変える、北欧ジーンズメーカーの奮闘


ヌーディ・ジーンズにとって、サプライチェーンの公開は、競合他社に手の内を明かすことを意味する。しかしステンバーグは、他社が同社のサプライヤーと直接取引しても構わないと言い、「変化を起こすには、より多くの企業が参加する必要がある。私たちだけでは何も変えられない」と話す。

業界全体の変革を促すこのアプローチは、同様にオープンソースを通じて幅広い環境保護活動を行うことで有名な米国のアウトドアブランド、パタゴニア社の姿勢とも共通する。

リユース(繰り返し使う)、リデュース(減らす)の哲学

持続可能な社会を目指すヌーディ・ジーンズの取り組みは、消費者にも向けられている。店舗で行っている無償のジーンズ修理サービスもそのひとつだ。店舗が近くにない消費者には、針と糸と生地がセットになった修理キットを送る。

2015年末までに同社が修理したジーンズは約4万本。また不要になったジーンズを引き取り、ビンテージジーンズとして販売するほか、生地をリサイクルして新しい製品を作る試みを行っている。

「コットンは環境にとって有害な植物だ」とステンベルグは言う。大量のコットンを使うデニムブランドにとって、自社製品の寿命を最大限に伸ばすこと、あるいはリサイクルすることは、トレンドであると同時に当然の使命なのだ。

ステンベルグはこれまでのヌーディ・ジーンズの歩みを振り返り、「会社を立ち上げるのが2016年の今だったら、これほど上手くいかなかっただろう。今、ブランドを築くにはより多くの資金が必要だ」と話す。2001年の創業当時、ジーンズ市場はわずか5、6社の大手メーカーによって占められていた。

そんな中、エリクソンと2人の仲間は銀行から50,000クローネ(約74万5,000円)を借りて3,000本のジーンズを作り、あるファッションイベントの1日目に売り切った。

現在、デニムブランドの数は増え、市場は飽和状態にある。だが、北欧のミニマリズムと新鮮なアプローチ、そして妥協を許さない姿勢を持つヌーディ・ジーンズは一歩抜きん出た存在だ。彼らには人、地球、製品の質に関して確固たる理想があり、それらはジーンズにも縫い込まれている。

編集=海田恭子

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