アメリカ各地でオープンの「VR遊園地」 スーパーマンや仮想お化け屋敷も

photo by Jonathan Leibson / gettyimages

筆者は遊園地の大ファンだ。園内の乗り物でファンタジーの世界に浸り、移動アミューズメントパーク時代からの歴史に思いを馳せるのがたまらなく好きだ。壁にひびを見つけたり、倉庫のような天井を見上げて現実世界に引き戻されることですら楽しい。

筆者は遊園地が何よりも好きだからこそ、VR(仮想現実)技術を遊園地に導入することについて、興奮を覚えると同時に不安にも駆られる。最近は数多くの遊園地がVRヘッドセットを導入している。その良い例がマサチューセッツ州ニューイングランドにある遊園地「シックスフラッグス」のスーパーマンをテーマにしたジェットコースターだ。

「スーパーマン・ライド・オブ・スティール」というこのアトラクションは、ヘッドセットを装着するとジェットコースターの動きとVR映像がシンクし、まるでスーパーマンと空を飛んでいるような体験をすることができる。ニューヨークのマダム・タッソー館では、VRを使ってゴーストバスターズを体験できるアトラクションがオープンした。VRの世界に現れるエレベーターのボタンを押したり、椅子に座ることができる。他にも、フロリダ州オーランドにあるユニバーサル・スタジオでは、「ハロウィーン・ホラー・ナイト」でVRお化け屋敷が登場する予定だ。

VRは実にエキサイティングだ。これまでも遊園地は最新テクノロジーを積極的に取り入れてきており、VRを導入する流れは極めて自然だと言える。筆者がVRを初めて体験したのは1990年代で、場所はフロリダ州オーランドのディズニー・ワールド・リゾートにあるエプコットだった。

1時間以上も列に並び、2分間だけ仮想現実の恐竜を見ることができた。今思えば初歩的な技術だったが、当時は大いに興奮したのを覚えている。VR技術は当時とは比べ物にならないほど進歩しており、遊園地がVRを導入しないのは怠慢だとすら言える。

あっという間に「陳腐化」する懸念も

しかし、一方で筆者は少し神経質にもなっている。昔ながらの機械的な乗り物には時代を超えた素晴らしさがある。コニーアイランドの名物ジェットコースター「サイクロン」は1927年のオープン時から変わらず訪れる客を楽しませてくれるし、ディズニーのアトラクション「ホーンテッドマンション」も1969年のスタート以来、技術的な改良はそれほどされていない。それに比べ、VRは技術的なメンテナンスを常に行わないと、コンピュータやスマートフォンと同じようにすぐに陳腐化してしまう。

幸いこの問題は致命傷にはならない。アトラクション自体をリニューアルするのに比べれば、VRヘッドセットをアップグレードしたり、新しいソフトウェアをアップロードするのははるかに簡単だ。大手の遊園地は既に最新技術へのアップデートを行っている。例えばディズニーはアトラクション「ソアリン」のスクリーンを4Kに刷新し、ユニバーサルの「アイランズ・オブ・アドベンチャー 」は最近スパイダーマンのアトラクションのアニメーションをリニューアルした。また、ユニバーサルのVRアトラクション「The Repository」のように、技術の陳腐化を防ぐために期間限定でオープンするという手もある。

VR技術が普及した今日、誰でも家のリビングルームで快適にVR体験を味わうことが可能だ。しかし、ジェットコースターの動きが映像とシンクしたり、迷路のような空間で迷子になるといった体験は遊園地でしか味わうことができない。こうした利点を活かし、より多くの人に来場してもらえるような魅力的なVRアトラクションを作れるかは、遊園地の手腕に掛かっている。

編集=上田裕資

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