中国バイドゥ グーグルに対抗し人工知能技術をオープンソース化

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ディープラーニングは人工知能分野で急速に発展しているカテゴリだ。アルゴリズム解析は自然言語処理やコンピュータビジョン、機械翻訳の分野に多大なメリットをもたらしつつある。しかし、このフィールドは技術に精通した一部のエンジニアのみがアクセス可能なものと思われてきた。

9月1日、中国の検索エンジン大手バイドゥ(百度)は、同社が社内で用いるディープラーニングソフトウェア「パドルパドル(PaddlePaddle)」のオープンソース化を発表した。バイドゥによるとこの仕組みを用いることで、ディープラーニング技術について経験が浅い開発者も、その活用が可能になるという。

バイドゥのパドルパドル部門を率いるWei Xuは「このプラットフォームで開発者らはディープラーニング技術を、迅速かつ簡易に自分の製品に適用できます」と述べた。「我々はより多くの開発者が人工知能を用い、未来に活用することを促進します」

バイドゥは過去3年にわたりパドルパドルの開発を行なってきた。このテクノロジーはバイドゥの検索ランキングやターゲット広告、画像検索や翻訳、さらに自動運転などに利用されているという。

Weiによるとパドルパドルの利用でプログラム作成の効率化が図れるという。機械翻訳をパドルパドルで行なった場合、通常のディープラーニングソフトを使用するよりも、必要なコードの行数が25%減少できたという。

この分野ではグーグルも機械学習のライブラリ、TensorFlowを昨年11月にオープンソース化した。他の機械学習の仕組み、Caffeや Theano、 Torch等も広範囲な活用が進みつつある。Weiは「競争の激化は人工知能研究の現場に良い結果をもたらすが、他社のプラットフォームは人工知能の初心者には活用が難しい」と指摘する。

バイドゥのディープラーニングラボの主任のAndrew Ngは、かつてグーグルでディープラーニング部門「グーグルブレイン」を創設し、2014年に同社に移籍した。Andrewによると「パドルパドルの仕組みの活用で、意欲のある開発者らがこれまでより簡単に、ディープラーニング技術を導入できる」という。

バイドゥは中国では主要なテック企業であるものの、米国ではほとんど存在感を示せていないのが現実だ。パドルパドルの活用が米国の開発者らの間で進むかどうかは未知数と言える。しかし、ディープラーニングの分野がまだまだこれからのジャンルであることは確実だ。

パドルパドルのリソースは現在、GitHubからダウンロード可能になっている。

編集=上田裕資

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