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2016.09.01

IoTで苦戦のグーグル「Nest」 主要メンバー数十人が配置転換

ネストのサーモグラフィー photo by Christian Science Monitor / gettyimages

サーモスタットメーカーのネスト(Nest)の社員がグーグルに移籍することが関係者の話で明らかになった。

移籍するのはネストのデバイスにサードパーティーのサービスやデバイスを接続可能にするための「Works with Nest」のチームと、無線通信プロトコル「Weave」のチームだ。グーグルとネストはともに持ち株会社「アルファベット」傘下で、IoT(モノのインターネット)に取り組んでいるチームを整理統合する目的だ。フォーチュンがこのニュースを最初に報じた。

移籍する数十人は、今後グーグルのIoTプラットフォームの開発部門に所属することになる。チームを率いるのは、アンドロイドで上級副社長を務めていたヒロシ・ロックハイマー。同部門では「Weave」と「Works with Nest」のほか、IoTデバイス向け省エネOSの「Brillo」も担当する。将来的には現在はLinuxをOSとしているネストのデバイスに「Brillo」を搭載する方針だという。

関係者によると、ネスト従業員の移籍計画は以前から進められていたが、最近になって本人たちに内密に通達があった。「Works with Nest」の責任者だったGreg Huなど上層の社員が指揮を執ったという。ネストの広報担当者はコメントを控えるとした。

ネストの従業員数は1,000人ほどで、わずか数十人がグーグルに移籍することは大きな動きとは思えないかもしれないが、まだ始まったばかりのIoT市場ではネストのプラットフォームがスマートホーム機器の重要な戦略的資産だった。移籍がネストの方向性や優先順位にどう影響するかは分からない。ハードウェアとソフトウェアのチームは残留する。

ネストは最近苦境が続いている。2014年初めにグーグルが32億ドル(約3,311億円)で買収した直後、ソフトウェア上の不具合で煙探知機をリコールした。スマートカメラメーカーDropcamを5億5,500万ドル(約574億円)で買収するも統合はスムーズにいかなかった。そして2016年6月にはネストの共同創業者でCEOのトニー・ファデルが辞任していた。

編集=上田裕資

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