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2016.09.05 10:00

エンジェル投資家が惚れ込む「バージョンアップ経営者」の魅力

写真=平岩 享

武田隆らが、1996年に創業した「エイベック研究所」は、2016年6月に社名を「クオン」に変更。消費者コミュニティの開発・運営を通じ、企業にマーケティング・ソリューションを提供するサービス「QON(クオン)」を提供している。昨年、ベルリンに支局を新設し、今後は海外展開も進めていく。

エンジェル投資家の瀧本哲史は01年に投資を行い、06年3月より社外取締役に就任にした。

武田:インターネットの本質は「双方向」の「ネットワーク」。なので「消費者コミュニティ」を事業ドメインとしました。コミュニティを活性化する技術開発に10年、それをマーケティングに活用するためのソリューション開発にも同様の時間をかけ、現在のサービス「QON(Quality Of Network、クオン)」に至りました。前例のない研究テーマだったので、生きているうちに実現できないかもと思っていました(笑)。創業20年を迎えた今年、複数の特許も取得し、研究所の役割を終え、新社名で第二創業のスタートを切ることにしました。

瀧本:武田さんは、ビジョナリーな起業家の典型。たとえば「消費者の行動データをマイニングして、そこからパターンを見つけ出し、マーケティングに活用する」という、ビッグデータの発想を00年ごろにすでにもっていた。彼の構想に、市場とテクノロジーが追いついたと見るべきでしょう。これも誰も相手にしなかった「コミュニティ」をしつこくやり続けた結果だと思います。

武田:営業も経理も経営も、始めたときはすべて素人でした。財務諸表の読み方もろくに知らず、瀧本さんに「株式会社ってなに?」とか「会社はなぜ拡張しなければならないの?」とか、とにかく納得したかったので、たくさんの質問をさせていただきました。瀧本さんはどんなときも呆れずに付き合ってくれて、「株式会社の発端はオランダの東インド会社で、船の上でパンを分け合うという意味が『カンパーニャ』の語源だ」とか…。僕にとっては、株主であると同時に”経営の先生”なんですね。
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文=山本隆太郎

この記事は 「Forbes JAPAN No.26 2016年9月号(2016/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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