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世界37カ国、700万人が愛読する経済誌の日本版

アーティスト 福原志保 (photograph by Martin Holtkamp)

夢見た仕事とは、ちょっと違う世界に辿り着いた。福原志保が初めて欧州に渡ったのは、18歳のとき。いまやアートの最先端で活動する彼女が辿った道とは。

「今回のテーマは”ミッション”です」。そんな言葉とともに、福原志保(40)に取材依頼をした、6月のある日のこと。福原から、こんなメールが返ってきた。

「私のミッションは、分野を越え、固定観念を崩し、過去と未来を繋げること」

過去と未来を繋げるとは、いったいどういうことなのか?

福原の肩書は「アーティスト」。バイオテクノロジー(生物工学)とアートをかけ合わせた作品を中心に、国内外のさまざまなプロジェクトを手がける。古くから福原を知る、IDEOの共同創業者のトム・ケリーは、こう評する。

「アートの分野での幅広い経験と、技術的な専門知識を結び合わせ、アートをさまざまな形に広げ、問題提起をしようとしている」

福原は、2004年に英国政府主催のビジネスコンペで最終審査に残り、「バイオプレゼンス」社を設立。コンペを通過した際のアイデアは「亡くなった人の遺伝子を樹木に入れ、DNAを継承する」というもの。この樹木が大きくなったら、どんな未来が生まれるのだろう。

福原は「おばあちゃんの遺伝子が入ったりんごを食べられますか?」と世に問いかけた。

初めからこの仕事を目指していたわけでは決してない。出発点は「映画」。いまや最先端の領域で活動する福原が、ミッションを見つける過程には何があったのか。話は高校時代にまで遡る。

自分のこだわりを俯瞰してみたら

9歳上の兄の影響で、福原は小学生の終わりを迎える頃から、映画にどっぷりとハマった。近所のレンタルビデオ店に通っては、自前の“映画ノート”に気になったことを書き留める日々。中学生の頃、特に好きだったのが、ゴダールの『アルファヴィル』やトリュフォーの『華氏451』。

「SF作品をよく観ていて。『スター・ウォーズ』も好きだけれど、それよりもっと社会的な作品が好きでした。パラレルワールドを描いたような作品に惹かれた」。映画をつくりたくて、つくりたくてしょうがないのに、どう行動したら良いのかわからない。

英語は超がつくほど苦手。中学2年生になっても、助動詞のcanとbe動詞の違いも分からない。さすがに危機感を抱いた両親は、福原に英語の家庭教師をつけることになる。この家庭教師が放った言葉が、福原の人生を動かす。「映画が好きなら、登場人物が言っていることが分かるようになったらいいんじゃない?」。

高校に入ると、放課後はほぼ毎日語学学校に足を運び、フランス語を叩き込んだ。

文=古谷ゆう子

 

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