アップルストアが最初から「店」ではないことを示す10の理由

Photo by Justin Sullivan/Getty Images

アップルは2001年、最初の直営店をオープンした。だが、そこに配置されたのは店のレジ係ではなく、「コンシェルジュ」だった。先ごろ、アップルストアの名称が廃止されることが報じられたが、それも驚くべきことではない。アップルはこれまで、直営店を従来の意味での「ストア(店舗)」にする意図を持ったことはないのだ。

アップル幹部の一人はかつて、「アップルストアを訪れる人たちが料金を支払うのは、経験に対してだ。彼らはそれを求めて来店する」と話していた。幹部らは当初から、「顧客経験」について考え直したいとの意向を持っていた。

アップルストアが過去に一度も「店舗」だったことがないことを示す10の理由を、以下に紹介する。

1. より適切な問いかけ

創業者であるスティーブ・ジョブズが、「自社製品の市場シェアを拡大するための店舗を作る方法」を考えたことはない。彼が追求したのは、「どうすれば生活をより豊かにできるか?」「世界で最高の顧客サービスを提供するのは誰か?」ということだ。

より適切な問いかけを続けることが、より革新的で独創的な経験(の提供)につながるのだ。

2. インスピレーションを別の分野に求める

より適切な問いかけを続けたことは、アップルのリーダーたちの目を小売業界の外に向けさせた。アップルストアの中に設置された「ジーニアスバー」は、ザ・リッツカールトンやフォーシーズンズなど高級ホテルのロビーにあるバーから着想を得ている。アルコールではなく、アドバイスを提供するバーだ。

3. 魅力ある人を雇う

いくつかの職務を除いて、アップルストアは技術的な知識を従業員の採用基準にしていない。あるマネージャーによれば、採用を決めるのは「人柄」と「知識」。9対1の割合で、人柄を重視している。「親しみやすさ」を教えることはできないからだ。

人の心を動かすことができれば、利益は後からついてくる。それは、アップルが私たちに教えてくれたことだ。

4. 経験と経歴の多様性を求める

アップルの従業員は、多様な経験を持つ人たちだ。以前は教師やエンジニア、ミュージシャン、アーティストだったという、さまざまな分野での経験を持った人たちが働いている。
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編集 = 木内涼子

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